GNOMEとは GNU Network Object Model Environmentの略で、「グ・ノーム」と読みます。GNOMEは、完全でフリーな使いやすいデスクトップ環境をユーザに提供し、同時に強力なアプリケーション開発フレームワークをソフトウェア開発者に提供する事を目的として現在も開発が続けられています。GNOMEの公式サイトは、GNOME: The Free Software Desktop Projectです。また、日本GNOMEユーザー会によって、日本語で投稿可能なメーリングリストや翻訳文書などが提供されています。
以下、画面構成、共通的なウィンドウの操作方法などについて説明しますが、マウスの操作に関する用語は以下の様に統一しますので確認しておいてください。
表 5.1. マウスの操作
クリック | マウスのボタンを1回押してすぐに離します。単にクリックと言う場合は、左ボタンのクリックを指します。 |
ダブルクリック | マウスのボタンを連続して2回クリックします。単にダブルクリックと言う場合は、左ボタンのダブルクリックを指します。 |
中クリック | マウスの中ボタンをクリックします。ホーイルマウスをお使いの場合は、ホーイルをクリックします。2ボタンマウスをお使いで3ボタンマウスのエミュレーションを有効にしている場合は、左と右のボタンを同時にクリックすることで同様の効果が得られます。 |
右クリック | マウスの右ボタンをクリックします。多くの場合、コンテキストメニューと呼ばれるメニューが表示されます。 |
ドラッグ | マウスのボタンを押したまま、マウスを移動します。単にドラッグと言う場合は、左ボタンによるドラッグを指します。 |
画面の上下に表れる細いバーは、パネルと言います。インストール当初のパネルには以下の様なメニューやランチャなどがあります。これらの配置や新たなランチャの追加は、パネル上やランチャなどを右クリックして表示されるコンテキストメニューにより変更可能です。
表 5.2. 上部パネル
メニューバー | アプリケーションや設定ツールなどを起動するためのアプリケーションメニュー、ファイルの検索やスクリーンショットの撮影、ログアウトなどを実行するためのアクションメニューが納められています。 |
ランチャ | 対応するアプリケーションを起動するためのアイコンです。インストール当初の設定では、GNOME端末やMozillaなどを起動するランチャが並んでいます。 |
ワイヤレス接続モニタ | このユーティリティはラップトップのワイヤレス接続の状態を表示します。 |
時計 | 現在の時刻と日付を表示する時計です。クリックするとカレンダが表示されます。 |
ボリューム・コントロール | このボリューム・コントロールでデスクトップの音量を設定できます。 |
ウィンドウ・メニュー | ウィンドウ一覧では表示可能なウィンドウの一覧と、それらを参照する機能を提供します。 |
表 5.3. 下部パネル
デスクトップの表示ボタン | このボタンは、全てのウィンドウを隠してデスクトップを表示させます。 |
ウィンドウの一覧 | ウィンドウ一覧では表示可能なウィンドウの一覧と、それらを参照する機能を提供します。 |
ワークスペース切り換え器 | ワークスペース切り換え器は、ウィンドウを管理するためのワークスペースの縮小版を表示します。詳細は、項5.5. 「ワークスペースと仮想コンソール」を参照してください。 |
ウィンドウや背景画像、アイコンが表示される領域をデスクトップと言います。インストール当初の設定では、左側に『ユーザのホーム』、『ここからスタート』、『ゴミ箱』といったランチャが並んでいます。これらは、マウスでドラッグして自由に配置を変えることができます。『ユーザのホーム』を左ボタンでダブルクリックするとファイルマネージャNautilusが起動し、ユーザのホームディレクトリのファイルの一覧が表示されます。『ここからスタート』アイコンをダブルクリックした場合もNautilusが起動しますが、この場合はオンラインマニュアルやシステム設定などのランチャが表示されます。『ゴミ箱』には、Nautilusなどで削除したファイルが一時的に格納されます。
なお、デスクトップ上でマウスの右ボタンを押すとメニューが表示されます。ここから、Nautilusや端末エミュレータを起動したり、ランチャやフォルダの生成、背景の変更などが可能です。
アプリケーションを起動して表示されるウィンドウの最上部には、タイトルバーがあります。ウィンドウが最大化されていない状態でタイトルバーをドラッグするとウィンドウを移動することができます。タイトルバーには表 5.4. 「タイトルバーのアイコン」の様なボタンが配置されています。
また、通常の状態でウィンドウの外枠にマウスポインタを合わせるとポインタの形状が変わり、マウスのドラッグによりウィンドウの大きさを変更する事ができます。
表 5.4. タイトルバーのアイコン
ウィンドウメニュー | デフォルトのテーマでは、左上のブドウのアイコンをクリックするとウィンドウメニューが表示されます。これにより、アプリケーションを終了させたり、最小化させたりする事ができます。なお、このメニューはタイトルバー上の任意の場所を右クリックすることによっても表示できます。 |
最小化ボタン | デフォルトのテーマでは、「▽」ボタンをクリックするとウィンドウを最小化できます。最小化したウィンドウは、項5.2.1.1. 「パネル」で紹介したウィンドウ・メニューやウィンドウの一覧を利用することにより、再表示可能です。また、Alt-Tabというショーットカットキーを利用して再表示することも可能です。 |
最大化ボタン | デフォルトのテーマでは、通常の状態で「△」ボタンをクリックすることにより、ウィンドウを最大化できます。逆に最大化した状態でこのボタンを押すとウィンドウを通常の状態に戻す事ができます。この機能は、タイトルバーをダブルクリックする事によっても利用可能です。 |
ウィンドウを閉じるボタン | デフォルトのテーマでは、「×」ボタンをクリックする事によりウィンドウを閉じることができます。単一のウィンドウで構成されるアプリケーションでは、同時にアプリケーションの終了を意味します。後述するGIMPなど複数のウィンドウで構成されるアプリケーションの場合は、メインのウィンドウを閉じるまでアプリケーションは終了しません。 |
パネルのyelpが起動します。残念ながら、ほとんどが英語ですが、GNOMEやアプリケーションなどの使い方を参照する事ができます。
メニューから、GNOMEヘルプ・システムをクリックするとヘルプブラウザなお、yelpに対応したアプリケーションであれば、 メニューから を実行する事により、直接、アプリケーションのヘルプを表示する事ができます。
パネルのNautilusです。
メニューから、 をクリックした場合などに起動されるのが、GNOME標準のファイルマネージャNautilusを起動すると『場所:』に現在参照中のディレクトリ名などが表示され、その場所にあるファイルやディレクトリの一覧がアイコンで表示されます。画像ファイルの場合はアイコンの代わりにサムネイル画像が表示されます。Nautilusには以下の様な機能があります。
ディレクトリをダブルクリックすると、そのディレクトリへ移動します。ツールバーの
をクリックすると、1つ上のディレクトリへ移動します。ファイルをダブルクリックするとファイルの種類に応じてアプリケーションを起動して表示します。テキストファイルの場合は、Nautilusがテキストビューアに切り替わりファイルの内容を表示します。
アーカイブファイルや圧縮ファイルをクリックすると後述のFile Rollerが起動され、内容を確認する事ができます。
ファイルをドラッグする事により、デスクトップや他のディレクトリへ移動することができます。(Ctrlを押しながらドラッグするとコピーできます。)
アイコン上で右クリックするとコンテキストメニューが表示されます。不要なファイルは「ゴミ箱へ移動する」で消すことができます。
この他にもいろいろな機能がありますが、詳細はNautilusのヘルプを参照してください。また、nautilus-mozilla、nautilus-rpm、nautilus-cd-burnerなどのパッケージをインストールする事により、機能の拡張が可能です。