インストールの大まかな手順は次のようになります。
事前準備 ↓ (ブートディスク作成) ↓ インストーラ起動 ↓ インストールクラス選択 ↓ パーティション設定 ↓ 環境設定 ↓ ハードディスクへのファイル展開 ↓ X の設定 |
CD-ROMから起動できる場合は、「ブートディスク作成」の過程を省略することができます。
CD-ROMから起動できない場合は、インストール時にLinuxを起動するための「ブートディスク」を作成します。フロッピーディスク1枚が必要です。
インストールを行う前にいくつか準備が必要になります。まず各ハードウェアの型番などを控えておいて下さい。
ビデオカード(メーカ名やチップ名)
モニタの垂直/水平周波数
ネットワークカード
SCSIカード
サウンドカード
その他のハードウェア
PCIやPCMCIAなどの多くデバイスは自動で認識されますので、実際には入力する必要はありません。自動認識されなかった場合に情報として必要になります。Windowsがインストールされている場合では、デバイスマネージャで各デバイスのプロパティを見ればわかるでしょう。どうしてもインストールがうまくいかない場合には、一旦ビデオカードとモニタ以外のハードウェアを取り外してから行ってみて下さい。
Vine Linuxをインストールするには、ハードディスクに、新たにパーティションを作成するための空き領域が必要です。WindowsがプリインストールされたPCを購入した場合は、ハードディスクのすべての領域をWindowsが使う設定になっていることがほとんどです。この場合は、以下のいずれかの方法で空き領域を確保して下さい。
Linux用に空き領域を残してWindowsを再インストールする
Windowsパーティションの未使用部分を空き領域にするツールを利用する
このツールには、dosutilsディレクトリ内のFIPS.EXEや、パーティションマジック(Partition Magick)などの市販の製品が利用できます。これらのツールを使用する際には、まず一時的に仮想記憶を使わない様にした上でデフラグを行って下さい。ただし、FIPS.EXE では 8Gバイトを越える部分のパーティション操作は行なえません。
新規にディスクを増設する
1.の方法は既存の環境を初期化することになりますので、必ず必要なデータをバックアップしてから行って下さい。また、2.の方法の場合も絶対に安全とは言えませんので、必要なデータのバックアップを行って下さい。
必要な空き領域のサイズは、最小構成で約500Mバイト以上(フルインストール時に約 1.8Gバイト以上)です。この他にスワップ領域とユーザ領域が必要となります。Kernel 2.4 ではスワップ領域はメモリの2倍程度を目安にして下さい。
![]() | ハードディスクのパーティションと空き領域 |
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ほとんどのマシンにはWindowsがプリインストールされているため、パーティションを意識することはないでしょう。新品のハードディスクを使う場合、まず論理的にいくつかに分割し、その分割したものをどのOSで使用するかを設定しなければなりません。この分割した部分を「パーティション」といいます。そして、パーティションに割り当てられていない部分を「空き領域」などといいます。Linuxをはじめてインストールする場合、空き領域にLinuxが使用するパーティションを作成する必要があるのです。この説明については、WindowsのFDISK.EXEコマンドなども参考になるでしょう。 |
Vine Linux 3.1では以下の方法でインストールすることができます。
ローカルのCD-ROMからインストールする
ローカルのハードディスクからインストールする
NFSやFTP、HTTPを使ってネットワーク経由でインストールする
PCMCIAを使ってインストールする
![]() | ここで言う「ローカル」とは、「PC本体に内蔵されている」と言う意味です。 |
PCに装着されたCD-ROMドライブからインストールを行います。ノートPCなど外付けのCD-ROMドライブからインストールする場合は後述のPCMCIAを使う場合を御覧下さい。
Vine Linuxのファイルが置かれた Linux(ext2) のパーティションからインストールを行います。もし、この方法を使用するのでしたら、いったんインストールを中断して Linux(ext2)のパーティションにVine Linuxのファイルをコピーします。その後、ブートディスクを用いて再起動し、インストールを行います。
パーティションの設定後にVine Linuxのファイルが存在するパーティションとディレクトリを聞かれますので、パーティションには IDEなら/dev/hda1、SCSIなら/dev/sda1などの様に指定し、ディレクトリにはファイルが存在するディレクトリ名を指定します。
LAN上のVine Linuxのファイルが置かれたNFSサーバからインストールを行ったり、ネットワーク上でVine Linuxを公開しているFTPサーバやHTTPサーバからインストールを行います。LANやNFS、FTP、HTTPなどのネットワーク設定に関する知識が必須になります。UNIX系OSの経験がない場合は、この方法でインストールすることはできないと思って下さい。
PCMCIAカードを使ってインストールを行います。これはノートPCなどで外付けのCD-ROMドライブからインストールする場合や、NIC(PCMCIA)カードを用いてネットワーク経由でインストールする場合です。
Vine Linuxのインストーラは、以下の3つのいずれかの方法で起動します。
CD-ROMドライブから起動する(CD-ROM起動が可能なPCに限る)
フロッピーディスクを使って起動する
Windows などから起動する
お手持ちのCD-ROMドライブがブータブル対応(CD-ROMから起動可能なタイプ)であれば、ドライブにCDを入れて再起動するだけでインストールが始まります。この場合、BIOSの設定でハードディスクよりも先にCD-ROMを参照するように選んで下さい。もし、CD-ROMからの起動に対応していない場合は、ブートディスクを作成する必要があります。
CD-ROMのimagesディレクトリには、以下のブートディスクイメージが格納されています。
表 2-1. ブートディスクイメージ
boot.img | ローカルのCD-ROMからインストールする場合とローカルディスクからインストールする場合 |
bootnet.img | ネットワーク経由でインストールする場合 |
pcmcia.img | pcmcia カードを使ってCD-ROMなどからインストールする場合 |
pcmcianet.img | pcmcia カードを使ってネットワークからインストールする場合 |
以下、ネットワーク経由でインストールする場合やPCMCIAを使う場合には、boot.imgをbootnet.img、pcmcia.img、pcmcia2.imgと読みかえてください。
ブートディスクは、WindowsのDOSプロンプトやMS-DOS上で作成するのが簡単ですが、Linuxなら以下のようにして作成することもできます。
# mount /mnt/cdrom # cat /mnt/cdrom/images/boot.img > /dev/fd0 |
次にWindowsのDOSプロンプトやMS-DOS 上での作成方法を紹介します。
Vine LinuxのCD-ROMを入れディレクトリをCD-ROMの imagesディレクトリに移動します。1.44Mバイトフォーマット済みのフロッピーディスクをAドライブに挿入して、以下のようにrawriteコマンドを実行します。ここではCD-ROMがGドライブであると仮定します。
G> ..\dosutils\rawrite.exe -n -f boot.img -d a: |
なお、Windowsの場合、マウス操作で簡単にブートディスクを作成できるrawritewin.exeも利用できます。