timidity (1) 2014年07月12日 2.14.0
名前
TiMidity++ - MIDI-to-WAVE変換およびプレーヤー
書式
timidity
[options] filename [...]
説明
TiMidity++ は,標準 MIDI ファイル(*.mid),RCP ファイル(*.rcp,*.r36, *.g18, *.g36)あるいは Module ファイル(*.mod)を,RIFF WAVE 形式等のオーディオファイルへ変換するコンバータです。
各種 MIDI ファイルからディジタルオーディオデータを生成するために,Gravis Ulstarsound 互換のpatch ファイル,あるいは AWE32/64 の SFX,SF2 ファイルなどを使用します。
TiMidity++ によって生成されたデータは,更に加工するためにファイルに格納したり,オーディオデバイスを使ってリアルタイムに演奏したりすることができます。
リアルタイム演奏時には,KAR ファイルや WRD ファイルなどを読み込んで,歌詞を表示することもできます。
ファイル名
directory 内すべてのファイルを演奏します。例えば,
% timidity some/where/
として起動すると,some/where/ ディレクトリ内すべてのファイルが演奏されます。
アーカイブファイル
アーカイブファイルから MIDI ファイルを展開しながら演奏します。アーカイブファイル中の個々のファイルを指定するには,アーカイブファイル名の後に続けて `#' を記述し,その後に続けてアーカイブ中のファイル名を指定します。`#' の後は UNIX shell の正規表現のパターンになっています。ただし,UNIXshell の正規表現とは少し異なり,大文字/小文字は区別されません。
ここで,\xHH という表現は,16 進数 `HH' で表した ASCII 文字列にマッチします。
例:
% timidity file.zip#file.mid
file.zip 中の file.mid ファイルを演奏します。
% timidity file.lzh#*.mid
file.lzh 中の *.mid にマッチするファイルを演奏します。
% timidity file.tgz#*
これは file.tgz と等価です。
これらは自前で展開していますので,Windows でもこれらのファイルを読むことができます。
TiMidity++ が内部で展開できるアーカイブ形式は以下の通りです。
tar ファイル(*.tar)
tar+gzip ファイル(*.tar.gz, *.tgz)
zip ファイル(*.zip)
lzh ファイル(*.lzh *.lha)
(lh0,lh1,lh2,lh3,lh4,lh5,lh6,lz4,lzs,lz5 に対応)
なお,これ以外でも,拡張子に対してその展開コマンドがコンパイル時に定義されている場合,
TiMidity++ は指定された展開コマンドにファイルをパイプで流しこみ,展開します。
news://news-server[:port]/Message-ID
news://news-server[:port]/newsgroup[/first-last]
http://address
ftp://address
URL で指定した MIDI ファイルを演奏します。
例:
% timidity http://www.goice.co.jp/member/mo/dist/midi/impromptu.mid
ネットワークを介して MIDI ファイルを演奏します。
同様に,*.cfg ファイル内で URL を指定すればリモートのパッチファイルを利
用することもできます。
入力ファイル
オプション
TiMidity++ では次のコマンドラインオプションが使用可能です。
-A [n][,m](a)
--volume=[n][,m](a)
--amplification=n
--drumpower=m
--[no-]volume-compensation
全体の音量を n% にします。デフォルトでは 40 です。大きな値を指定するほど大きな音になります。また,通常音色の音量とドラム音色の音量の比率(ドラムパワー)を m% にします。
デフォルトでは 100 です。それぞれ,0 (無音)から 800 までの値が有効です。
さらに,-a オプションに `a' の文字を付加するか,--volume-compensation オプションを指定することにより,音量自動補正機能を有効にします。この機能は,MIDI データの MAINVOLUME を最大音量(0x7f)に正規化するもので,できるだけダイナミックレンジを稼ぐ,曲間での音量格差を小さくする,などの目的で使用されます。
例:
-A90 音量 90%,ドラム比 100%,補正無
-A,120 音量 40%,ドラム比 120%,補正無
-A90,120 音量 90%,ドラム比 120%,補正無
-Aa 音量 40%,ドラム比 100%,補正有
-A90a 音量 90%,ドラム比 100%,補正有
-A,120a 音量 40%,ドラム比 120%,補正有
-A90,120a 音量 90%,ドラム比 120%,補正有
--master-volume=n
全体の音量を n% にします。デフォルトでは 100 です。大きな値を指定するほど大きな音になります。
-a, --[no-]anti-alias
アンチエイリアシングを有効にします。-s オプションで低いサンプリングレートを指定したときに,折り返し雑音と呼ばれる不自然な成分が発生することがあります。-a オプションで起動することで,この不自然な成分を取り除くことができます。
-B n,m, --buffer-fragments=n,m
音源にデータを書き込む時の分割数(バッファフラグメント) n およびバッファサイズ 2^m を指定します。
n は,0 から1000 までの値が有効です。フラグメントの数を大きくすると,プロセスが多数動いている時の音切れが減りますが,早送り,巻き戻し,ボリューム制御などに対する反応は遲くなります。また,状態表示も同期が取れなくなります。
n を 0 にすると,できるだけ大きなフラグメントの値を取ります。このオプションは Linux,FreeBSD,Windows のみで有効です。
-C n , --control-ratio=n
制御レートを指定します。TiMidity++ では,エンベロープやトレモロなどの音量計算を 1 サンプルごとに行うのではなく,複数のサンプルをまとめて計算することで高速化を図っています。
すなわち,n サンプルごとに,エンベロープやトレモロの音量が再計算されています。n の値を小さくすればするほど音質が良くなりますが,その分 CPU パワーを必要とします。
n には 1 から 255 までの値を指定することができます。デフォルトでは 1 msec に相当するサンプル数となっています。
-c file, --config-file=file
TiMidity++ の設定ファイル file を読み込みます。TiMidity++ のデフォルトの設定ファイルを読み込んだ後,fileが読み込まれます。
-D n, --drum-channel=n
n チャンネル目をドラムチャンネルにします。-D -n のように指定すると, n チャンネル目をドラムではなく,メロディチャンネルにすることできます。n に 0 を与えると,すべてのチャンネルがメロディチャンネルになります。
-d dir , --interface-path= dir
ダイナミックリンクインタフェースモジュールがインストールされているディ
レクトリを dir で指定します。
-E mode , --ext= mode
TiMidity++ シーケンサの拡張モードを指定します(複数指定可)。以下の
mode が指定できます。
w/W, --[no-]mod-wheel
モジュレーションホイール制御を有効/無効にします。
p/P, --[no-]portamento
ポルタメント制御を有効/無効にします。
v/V, --[no-]vibrato
NRPN ビブラート制御を有効/無効にします。
s/S, --[no-]ch-pressure
チャンネルプレッシャー制御を有効/無効にします。
e/E, --[no-]mod-envelope
モジュレーションエンベロープを有効/無効にします。
t/T, --[no-]trace-text-meta
すべての/特定のテキストメタイベントをトレースします。
o/O, --[no-]overlap-voice
同一音の重なったボイスを許します/許しません(前の音は消音されます)。
z/Z, --[no-]temper-control
MIDI Tuning Standard の音律制御を有効/無効にします。
j/J
インサーションエフェクトを有効/無効にします。
q/Q
EQ コントロールを有効/無効にします。
d/D
NRPPN ドラムエフェクトを有効/無効にします。
x/X
TVA (アタック、ディケイ、リリース) を有効/無効にします。
c/C
CC#94 delay(celeste) コントロールを有効/無効にします。
mHH , --default-mid=HH
デフォルトマニュファクチュア ID を 2 桁の16進数 HH で指定します。
このとき,HH を GS/gs,XG/xg,GM2/gm2,SD/sd,GM/gm にすることで,それぞれ 41,43,7d,60,7e を指定したことになります。
入力ファイルから音源を自動的に認識できないような場合には,このパラメータでデフォルトの ID を指定することができます。
MHH , --system-mid=HH
システムマニュファクチュア ID を 2 桁の16進数 HH で指定します。
このオプションで指定されたマニュファクチュア ID は固定され,入力ファイルからのマニュファクチュア ID は無視されます。
bn , --default-bank=n
パッチのデフォルトのバンクを n にします。この設定は,MIDI のBank select メッセージにより変更されます。
Bn , --force-bank=n
-Eb と異なり,すべてのチャンネルのパッチのバンクを常に n
にします。n を省略するとデフォルトの動作になります。
in[/m] , --default-program=n[/m]
デフォルトのプログラム番号を n にします。デフォルトでは nは 0(通常はピアノ)となっています。
また,n の後に /m を付けると,チャンネル m のデフォルトのプログラム番号を指定することができます。/m を省略した場合には,全チャンネルに対する指定となります。
In[/m] , --force-program=n[/m]
プログラム番号を常に n にします。この設定は,MIDI の Programchange メッセージを受け取っても変更されません。
また,n の後に /m を付けると,チャンネル m のプログラム番号を指定することができます。/m を省略した場合には,全チャンネルに対する指定となります。
F args
エフェクトオプションです。以下の args が指定できます。
delay=(d|D), --delay=(d|D)
イヤホンで聞いた時の音の臨場感を出すようにします。
d, 0
ディレイを無効(Disable)にします(デフォルト)。
D, 1
ディレイを有効にします。
chorus=(d|n|s|w|W|b|B|t|T|h|H)[,level], --chorus=(d|n|s|w|W|b|B|t|T|h|H)[,level]
d, 0
コーラスを無効(Disable)にします。
n, 1
標準的(Normal)な MIDI コーラス制御を有効にします。
s, 2
サラウンド(Surround)コーラスを有効にします。
w, 3
標準的その2(Normal2) MIDI コーラス制御を有効にします(デフォルト)。
W, 4
サラウンド2(Surround2)コーラスを有効にします。
b, 5
標準的その3(Normal3) MIDI コーラス制御 (2 phase) を有効にします。
B, 6
サラウンド3(Surround3)コーラスを有効にします。
t, 7
標準的その4(Normal4) MIDI コーラス制御 (3 phase) を有効にします。
T, 8
サラウンド4(Surround4)コーラスを有効にします。
h, 9
標準的その5(Normal5) MIDI コーラス制御 (6 phase) を有効にします。
H
サラウンド5(Surround5)コーラスを有効にします。
level はコーラスレベル 0 から 127 を指定するオプションです。
reverb=(d|n|g)[,level], --reverb=(d|n|g)[,level]
reverb=(f|G)[,level[,scaleroom,offsetroom,predelay]]
--reverb=(f|G)[,level[,scaleroom,offsetroom,predelay]]
d, 0
MIDI リバーブ制御を無効(Disable)にします。
n, 1
標準的(Normal)な MIDI リバーブ制御を有効にします。
g, 2
グローバル(Global)リバーブを有効にします。
f, 3
Freeverb MIDI リバーブ制御を有効にします(デフォルト)。
G, 4
グローバル Freeverb MIDI リバーブ制御を有効にします。
level はリバーブレベル 0 から 127 を指定するオプションです。
Freeverbを有効にした場合には,追加のオプションとして scaleroom,
offsetroom および predelay を指定できます。
scaleroom と offsetroom は以下のリバーブのルームサイズの
計算に対する変数です
roomsize = C * scaleroom + offsetroom
ここで C はリバーブのキャラクタを表します。
predelay はリバーブのプリディレイに対する倍率を百分率で指定しま
す。
いずれのパラメータも省略可能です。
デフォルトはそれぞれ 0.28,0.7,100 です。
vlpf=(d|c|m|b|i|a|o|e|t|h|B), --voice-lpf=(d|c|m|b|i|a|o|e|t|h|B)
d, 0
ボイス単位 LPF を無効(Disable)にします。
c, 1
Chamberlin レゾナント LPF (12dB/oct)を有効にします。
m, 2
Moog レゾナントローパス VCF (24dB/oct)を有効にします。
b, 3
ButterworthFilter レゾナント LPF (butterworth)を有効にします(デフォルト)。
i, 4
Resonant IIR レゾナントローパス VCF (12dB/oct)-2 を有効にします。
a, 5
amSynth resonant レゾナントローパス VCF (24dB/oct)-2 を有効にします。
o, 6
1 pole 6db/oct レゾナントローパス VCF (6dB/oct) を有効にします。
e, 7
resonant 3 pole ローパス VCF (18dB/oct) を有効にします。
t, 8
two first order ローパス VCF を有効にします。
h, 9
ButterworthFilter ハイパス VCF (HPF) を有効にします。
B
ButterworthFilter バンドパス VCF (BPF) を有効にします。
ns=n, --noise-shaping=n
n 次ノイズシェーピングフィルタを有効にします。ディケイでの歪みが改善されますが,ノイズが高域にシフトし聴感上のノイズも増えます。8 ビット線形符号化のとき,n には 0 から 4 までの値を指定することができます。0 のときフィルタは機能せず,4 のとき最大の効き方となります。デフォルトでは 4 です。16 ビット線形符号化のとき,n には 0 から 4 までの値を指定することができます。値によって,下記の動作になります。デフォルトでは 4 です。
0
ノイズシェーピングなし
1
従来のノイズシェーピング
2
過負荷風ソフトクリッピング + 新ノイズシェーピング
3
真空管風ソフトクリッピング + 新ノイズシェーピング
4
新ノイズシェーピング
resamp=(d|l|c|L|n|g), --resample=(d|l|c|L|n|g)
d, 0
補完処理を無効(Disable)にします。
l, 1
線形(Linear)補完アルゴリズムを有効にします。
c, 2
C スプライン補完アルゴリズムを有効にします。
L, 3
ラグランジュ(Lagrange)補完アルゴリズムを有効にします。
n, 4
ニュートン(Newton)補完アルゴリズムを有効にします。
g, 5
ガウス(Gauss)風補完アルゴリズムを有効にします(デフォルト)。
s, 6
シャープ(Sharp)補完アルゴリズムを有効にします。
p, 7
線形パーセント(Linear%)補完アルゴリズムを有効にします。
i, 8
サイン(Sine)補完アルゴリズムを有効にします。
q, 9
スクウェア(Square)補完アルゴリズムを有効にします。
-EFresamp は -N オプションの挙動に影響します。
-e, --evil
TiMidity++ のスレッドプライオリティを上げます。Windows のみで有効です。このオプションを有効にすると,TiMidity++ 以外のプログラムがほとんど動作できなくなる evil モードに入ります。
-F, --[no-]fast-panning
ファーストパンを指定します。このオプションを指定すると,Note ON のままの状態で Midi control change 10: Panning が有効になります。デフォルトではすぐには変化しないで,音量の再計算が必要になったときに変化します。改良版ではトグルオプションになっています。
-f, --[no-]fast-decay
ファーストディケイを指定します。このオプションを指定にすると,エンベロープの変化時間が半分になり高速に動作します。ただし,音の立ち上がりとリリース時間が短くなってしまいます。
-G, --segment=begin1-end1[,begin2-end2,...](m)
カンマで区切った時間セグメントを指定して,複数の区間を演奏します。
それぞれの時間セグメントは,begin-end のように,ダッシュで区切った時間で表します。デフォルトでは,0-infinity です。
begin から end までを演奏します。
時間フォーマット: [<分>:]<秒>[.<ミリ秒>]
オプションに `m' の文字を付加することにより,秒の代わりに小節および拍として扱います。
Time format: <小節>[.<拍>] (小節,拍は 1 から始まる)
例:
-G12-1:00.500
12 秒スキップして演奏を開始し,1 分 00 秒 500 で演奏を終了します。
-G-5,2:00-
最初の 5 秒間を演奏したのち,開始から 2 分スキップして最後まで演奏します。
-G11.4-20m -G4:00-
第 11 小節 第 4 拍から第 20 小節を演奏したのち,開始から 4 分スキップして最後まで演奏します。
-g sec, --spectrogram=sec
サウンドスペクトログラムを表示する Window を開きます。このオプションはX Window System がサポートされている環境のみで動作します。サウンドスペクトログラムは声紋のようなもので,スペクトラムの時間変化を表現したものです。
-H n, --force-keysig=n
調号の数を指定します。n が正の場合は♯(シャープ)の数,n が負の場合は♭(フラット)の数のキーに移調ながら,MIDI ファイルを演奏します。n には -7 から 7 までの値を指定することができます。例えば,n に -1 を与えると,いかなる調性の MIDI ファイルであっても,♭(フラット)が 1 個のヘ長調あるいはニ短調に移調しながら演奏するので,演奏しやすい調性で楽器を練習するときの伴奏などに使うと便利です。
-h, --help
TiMidity++ のオプションの簡単な説明を表示します。
-i mode, --interface=mode
--realtime-priority=n
--sequencer-ports=n
ユーザインタフェースを指定します。環境によって利用可能なインタフェースが異なります。
ALSA シーケンサインタフェースでは,別途 --realtime-priorityオプションにより,リアルタイム・プライオリティを指定できます。また,--sequencer-ports オプションにより,シーケンサのポート数を指定できます。デフォルトでは 4 です。
以下の mode が存在します。
-id dumb インタフェース
-in ncurses インタフェース
-is S-Lang インタフェース
-ia X Athena Widget インタフェース
-ik Tcl/Tk インタフェース
-im Motif インタフェース
-iT vt100 インタフェース
-ie Emacs インタフェース
Emacs 上から ``M-x timidity'' により起動されます。
-ii skin インタフェース
環境変数 TIMIDITY_SKIN に,使用する skin のパス(圧縮状態でもよい)
を指定しておいてください。
-ig GTK+ インタフェース
-ir MIDI サーバインタフェース
-iA ALSA シーケンサインタフェース
-iW Windows シンセサイザインタフェース
-iN Named Pipe シンセサイザインタフェース
-iw Windows GUI インタフェース
-iP PortMIDI シンセサイザインタフェース
-ip UMP インタフェース
インタフェースオプション
上記オプションに続けて,以下の文字列を追加することができます(複数指定化)。
v, --verbose=n
冗長表示のレベルを累積的に上げます。
q, --quiet=n
冗長表示のレベルを累積的に下げます。
t, --[no-]trace
トレース表示を on/off します(トグル)。
l, --[no-]loop
ループ再生します(インタフェースによっては無視されます)。
r, --[no-]random
再生前にファイルリスト順をランダムにします。
s, --[no-]sort
再生前にファイルリスト順をソートします。
D, --[no-]background
TiMidity++ をバックグラウンドでデーモン化します(alsaseq のみ)。
-j, --[no-]realtime-load
このオプションを有効にすると,演奏しながらパッチファイルを読み込みます。
-K n, --adjust-key=n
n 半音単位でキーを調節(移調)します。n には -24 から24 までの値を指定することができます。
-k msec, --voice-queue=msec
ボイスを減少させるオーディオキュータイムを指定します。
-L path, --patch-path=path
サーチパスに path を追加します。patch ファイル,設定ファイル,MIDI ファイルなどは,このサーチパスに従って探索されます。最後に加えられたディレクトリは最初に探索されます。ただし,このサーチパスに関係なく,カレントディレクトリがいつも最初に探索されるので注意すること。
-M name, --pcm-file=name
演奏する PCM ファイル名(*.wav または *.aiff)を指定します。name にauto を指定すると,*.mid.wav または *.mid.aiff を演奏します。name に none を指定すると,この機能を無効にします(デフォルト)。
-m msec, --decay-time=msec
サステインしたノートがディケイされるまでの最大時間を指定します。
-m0
サステイン減衰を無効にして,サステインボリュームを一定にします(デフォルト)。
-m1
サステインが存在しないものとします。音量減衰は,標準のステージ 3 と同じです。
-m3000
最大音量のノートがサステイン状態になってから 3 秒 で減衰します(ステージ 3 の rate がそれ以上伸びないものとします)。十分小さくなったノートは,もちろんすぐに消えます。
-N n, --interpolation=n
補完パラメータを指定します。-N オプションの挙動は-EFresamp オプション指定に依存します。
newton(n)
n 次のニュートン補完を指定します。n には 1 から 57 までの奇数を指定することができます。
デフォルトでは 11 です。
gauss(g)
n+1 点ガウス風補完を指定します。n には 1 から 34 までの整数を指定することができます。
デフォルトでは 24 です。
sharp(s)
n には 2 から 8 までの偶数を指定することができます。
デフォルトでは 2 です。
linearP(p)
n には 0 から 100 までの整数を指定することができます。
デフォルトでは 100 です。
オーディオキューが 99% 以下のときは,線形補完が使われます。
-O mode, --output-mode=mode
--wave-extensible
--wave-update-step=n
--flac-verify
--flac-padding=n
--flac-complevel=n
--oggflac
--opus-nframes=n
--opus-bitrate=n
--opus-complexity=n
--[no-]opus-vbr
--[no-]opus-cvbr
--speex-quality=n
--speex-vbr
--speex-abr=n
--speex-vad
--speex-dtx
--speex-complexity=n
--speex-nframes=n
出力モードやフォーマットを指定します。
Ogg FLAC 出力モードでは,別途 --flac-verify,--flac-padding,--flac-complevel,--oggflacオプションにより,それぞれ元波形とのべリファイ(圧縮速度が少し遅くなる),ファイルヘッダのパディング長(デフォルトでは4096),0 から8 までの圧縮レベル(デフォルトでは5),OggFLAC ストリームで出力を指定できます。
Ogg Speex 出力モードでは,別途 --speex-quality,--speex-vbr,--speex-abr,--speex-vad,--speex-dtx,--speex-complexity オプションにより,それぞれ0 から 10 までの圧縮品質(デフォルトでは 8),VBR で出力,レート n の ABR で出力,VAD(voice activity detection)で出力,DTX(discontinuous transmission) で出力,0 から 10までの解析の複雑さ(デフォルトでは 3),0 から 10 までのOgg パケット内のフレーム数(Speex の処理単位)(デフォルトでは 1)を指定できます。
以下の mode が有効です。
-Od
オーディオデバイスに出力します(デフォルト)。
-Os
ALSA オーディオデバイスに出力します。
-Or
ヘッダのないオーディオのデータ部分のみを出力します。下記のすべてのフォーマットオプションが使えます。一般的なフォーマットは以下の通りです。
-OrU
μ-Law
-Or1sl
16 ビット符号あり線形符号化
-Or8ul
8 ビット符号なし線形符号化
-Ou
Sun Audio (au)ファイルを出力します。
-Oa
AIFF(Audio Interchange File Format) ファイルを出力します。
-Ow
RIFF WAVE ファイルを出力します。出力がシーケンシャルファイルだったり,TiMidity++ がファイルを閉じる前に中断された場合,ファイルヘッダは0xffffffff の RIFF およびデータブロック長フィールドを含みます。著名なサウンド変換ユーティリティ sox は,そのような規格外のファイルを読めるので,別フォーマットへのオンザフライ変換として,sox に直接データをパイプできます。
-Ol
MIDI イベントのリストを出力します。
-OM
MOD ファイルから MIDI ファイルに変換して出力します。
-Oe EsounD
-Op PortAudio (v18)
-Oo PortAudio (V19/ASIO)
-OW PortAudio (V19/Windows/WASAPI)
-OK PortAudio (V19/Windows/WDM-KS)
-OP PortAudio (V19/Windows/WIN-DS)
-Op PortAudio (V19/Windows/WMME)
-Oj JACK
-OR aRts
-OA Alib
-Ov Ogg Vorbis
-OF Ogg FLAC
-OU Ogg Opus
-OS Ogg Speex
-Og MP3 GOGO
-OL LameEnc
-OO libdao
-OV SoundFont Volume Calc
フォーマットオプション
上記オプションに続けて,以下の文字を追加することで出力フォーマットを指定できます(複数可)。
S, --output-stereo ステレオ
M, --output-mono モノラル
s, --output-signed 符合あり出力
u, --output-unsigned 符合なし出力
1, --output-16bit 16 ビットサンプル精度
2, --output-24bit 24 ビットサンプル精度
3, --output-32bit 32 ビットサンプル精度
f, --output-f32bit float 32 ビットサンプル精度
D, --output-f64bit float 64 ビットサンプル精度
8, --output-8bit 8 ビットサンプル精度
l, --output-linear 線形符合化
U, --output-ulaw μ-Law 符合化
A, --output-alaw A-Law 符合化
x, --[no-]output-swab バイト反転出力
一部のモードでは,指定しても効果がないオプションがあります。例えば,バイト反転した RIFF WAVE ファイルを作ることはできませんし,μ-Law 出力はLinux PCM デバイスに対しては使用できません。
-o file, --output-file=file
出力ファイル名を指定します。出力先がファイルでない場合はこのオプションは無視されます。file を `-' にすると標準出力に出力されます。
-P file, --patch-file=file
すべての楽器を file(パッチ) を用いて演奏します。
-p [n](a)
--polyphony=n
--[no-]polyphony-reduction
最大同時発音数を n にします。
さらに,-p オプションに `a' の文字を付加するか,--polyphony-reduction オプションを指定することにより,自動で発音数の減少させることを可能にします。デフォルトでは有効です。
-Q n[,...](t)
--mute=n[,...]
--temper-mute=n[,...]
n チャンネル目を演奏しないようにします。`,'(カンマ) で区切って,複数のチャンネルを指定することができます。
n に 0 を指定すると,すべてのチャンネルを演奏しないようにします。続けて,-n を指定することにより,n チャンネル目だけを演奏することができます。
一方,-Q オプションに `t' の文字を付加するか,--temper-mute オプションを指定することにより,音律種別n をミュートします。
n には,プリセット音律種別として0 から 3 までの値を,ユーザ定義音律種別として 4 から7 までの値を指定することができます。
-q sec/n, --audio-buffer=sec/n
オーディオ最大バッファを sec 秒,オーディオ開始バッファをn% にします。デフォルトでは 5.0/100 です。100% のサイズはデバイスバッファサイズと等価です。
-R msec
エンベロープリリースを msec に修正して音響効果を得ます(疑似リバーブ)。msec が 0 のとき,msec は 800 に設定されます。
-S n, --cache-size=n
リサンプリングキャッシュの大きさをバイト数で指定します。頻繁に用いられるサンプルは,あらかじめリサンプリングしておくことで高速化しています。ただし,ビブラートやピッチベンドなどによってピッチが変化するサンプルはキャッシュされません。0 を指定すると,まったくキャッシュしません。デフォルトでは n は 2097152 (2MB)となっています。
-s freq, --sampling-freq=freq
再生サンプルレート(Hz または kHz)を指定します。
-T n, --adjust-tempo=n
テンポを n% に調節します。n を 120 にすると,MOD ファイルを NTSC Amiga のタイミングで演奏します。
-t code, --output-charset=code
テキストの出力文字コードを指定します。以下の code が指定可能です(大文字小文字は区別されません)。
auto LANG 環境変数によってコードが決まります。
ascii 非可読 ASCII をピリオド(0x2e)に変換して出力します。
nocnv 出力文字コードを変換しません。
1251 windows-1251 から koi8-r に変換して出力します。
euc EUC コード(japan)で出力します。
jis JIS コードで出力します。
sjis SJIS コードで出力します。
-U, --[no-]unload-instruments
このオプションを有効にすると,演奏ごとに毎回,パッチに割り当てられていたメモリを解放します。
-V power, --volume-curve=power
ベロシティ/ボリューム/エクスプレッションカーブを amp=vol^power でpower の値が 0 で自動,1 で線形,約 1.661 で理想,約 2 で GS 設定となります。
-v, --version
TiMidity++ のバージョン情報を表示します。
-W mode, --wrd=mode
入力ファイルの拡張子を .WRD または .wrd に変更したファイルが存在すれば,それを WRD ファイル として読み込み,そのコマンドと歌詞を表示します。
表示方法は以下の通りです。
x X Window System を使用して,グラフィカルに WRD を表示します。
w Windows コンソール上に WRD を表示します。
t エスケープシーケンスを使用して,WRD に含まれる文字情報を表示します。
d WRD のイベント情報をそのまま出力します。
- WRD のトレースを行いません。
R[opts] WRD 読み込み時の設定を行います。
a1=b1,a2=b2,...
WRD 読み込み時のオプションを指定します。an にオプション名,bn にその値が入ります。
d=n
@WAIT,@WMODE まわりの MIMPI のタイミングに関するバグをエミュレートします。以下のオプションでエミュレートレベルを変更できます。
-WRd=0
MIMPI のバグをエミュレートしないで,規格通りに動作します。
-WRd=1
おそらく間違いないと思われるバグのみをエミュレートします(デフォルト)。
-WRd=2
怪しいバグまでエミュレートします。
エミュレートレベルをあげると,今までタイミングが合っていたものがずれる可能性があります。
F=file
WRD ファイル名を指定します。WRD ファイルが見つからない場合のみ,指定した file が WRD ファイルとして用いられます。
f=file
WRD ファイル名を指定します。常に指定した WRD ファイル file を用います。
なお,WRD はトレースモードで実行しないとタイミングが合いません。
-wmode, --rcpcv-dll=mode
Windows 用の拡張モードのオプションです。以下の mode が有効です。
-wr rcpcv.dll を使用します。
-wR rcpcv.dll を使用しません(デフォルト)。
-x str, --config-string=str
指定した文字列で TiMidity++ の設定を行います。str の書式はtimidity.cfg と同じです。例えば
-x'bank 0\n0 violin.pat'
とすると 0 番で指定される音色ををバイオリンにすることができます。-x に続く文字列中の `\' (ASCII 0x5c)は特別文字として扱われ,それ以降の文字(列)に対し,C 言語のリテラルと同様の展開が行われます。例えば,`\n' は改行を意味します。
-Z file, --freq-table=file
周波数テーブルを読み込みます。file に ``pure'' を指定すると,簡易純正律で演奏します。
-Zpure [n(m)], --pure-intonation=[n(m)]
MIDI ファイルの Key Signature メタイベントに基づき,簡易的な純正律で演奏します。
MIDI ファイルに Key Signature メタイベントが含まれていない場合は,初期の調性として n(m) を指定することで,正しい純正律演奏が可能となります。
n は調号の数で,♯(シャープ)の場合は正の数,♭(フラット)の場合は負の数を指定します。n には -7 から 7までの値を指定することができます。さらに,短調の場合は `m' の文字を付加します。
--module=n
特定の音源モジュールの動作をできるだけ真似ます。今のところ,定義されている n の値は次のとおりです。
0 TiMidity++ デフォルト
1 Roland SC-55
2 Roland SC-88
3 Roland SC-88Pro
4 Roland SC-8850
5-15 GS 用にリザーブ
16 YAMAHA MU-50
17 YAMAHA MU-80
18 YAMAHA MU-90
19 YAMAHA MU-100
20 YAMAHA MU-128
21 YAMAHA MU-500
22 YAMAHA MU-1000
23 YAMAHA MU-2000
24-31 XG 用にリザーブ
32 SoundBlaster Live!
33 SoundBlaster Audigy
34-55 任意の音源モジュール用にリザーブ
56 Roland MT32
57 Roland CM32L
58 Roland CM32P
59 Roland CM64
60-79 LA 用にリザーブ
80 KORG AG-10
82 KORG 05R/W
84 KORG NX5R
85-95 任意の音源モジュール用にリザーブ
96 Roland SD-20
97 Roland SD-80
98 Roland SD-90
99-111 任意の音源モジュール用にリザーブ
112 TiMidity++ スペシャル 1
113-126 TiMidity++ 特定目的用にリザーブ
127 TiMidity++ デバッグ
関連項目
lsmidiprog(1), mididump(1), patinfo(1), sf2text(1), wav2pat(1),timidity.cfg(5)
著作権
Copyright (C) 1999-2004 Masanao Izumo <iz跡onicos.co.jp>
Copyright (C) 1995 Tuukka Toivonen <tt跡cgs.fi>
The original version was developed by Tuukka Toivonen <tt跡cgs.fi>
until the release of TiMidity-0.2i. His development was discontinued
because of his being busy with work.
This program is free software; you can redistribute it and/or modify
it under the terms of the GNU General Public License as
published by the Free Software Foundation; either version 2 of the
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This program is distributed in the hope that it will be useful, but
WITHOUT ANY WARRANTY; without even the implied warranty of
MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE. See the GNU
General Public License for more details.
You should have received a copy of the GNU General Public License
along with this program; if not, write to the Free Software
Foundation, Inc., 59 Temple Place, Suite 330, Boston, MA 02111-1307
USA
入手元
TiMidity++ は 改良版 TiMidity のページ
URL http://www.timidity.jp/
で手に入ります。
バグ
小さな CPU-time-eating 獣よりも CPU time を喰う。
著者
Version 0.2i and earlier:
Tuukka Toivonen <tt跡cgs.fi>
Vincent Pagel <pagel跡loria.fr>
Takashi Iwai <tiwai跡suse.de>
Davide Moretti <dave跡rimini.com>
Chi Ming HUNG <cmhung跡insti.physics.sunysb.edu>
Riccardo Facchetti <riccardo跡cdc8g5.cdc.polimi.it>
TiMidity++:
出雲正尚 (IZUMO Masanao) <iz跡onicos.co.jp>
原田智和 (HARADA Tomokazu)
山手圭一郎 (YAMATE Keiichirou)
木竜雅樹 (KIRYU Masaki) <mkiryu跡usa.net>
青木大輔 (AOKI Daisuke) <dai跡y7.net>
松本庄司 (MATSUMOTO Shoji)
小柳雅明 (KOYANAGI Masaaki) <koyanagi跡okilab.oki.co.jp>
今井邦彦 (IMAI Kunihiko)
野上貴哉 (NOGAMI Takaya)
渡辺尊紀 (WATANABE Takanori)
竹川視野 (TAKEKAWA Hiroshi) <sian跡big.or.jp>
長野大介 (NAGANO Daisuke) <breeze.nagano跡nifty.ne.jp>
木下浩介 (KINOSHITA Kosuke)
重村法克 (SHIGEMURA Norikatsu)
山幡為佐久 (YAMAHATA Isaku)
荒井良重 (ARAI Yoshishige) <ryo2跡on.rim.or.jp>
Glenn Trigg <ggt跡netspace.net.au>
Tim Allen <thristian跡usa.net>
Michael Haardt <michael跡moria.de>
Eric A. Welsh <ewelsh跡ccb.wustl.edu>
Paolo Bonzini <bonzini跡gnu.org>
木本雅彦 (KIMOTO Masahiko) <kimoto跡ohnolab.org>
岩井隆 (IWAI Takashi) <tiwai跡suse.de>
Saito <saito2跡digitalme.com>
佐藤研太郎 (SATO Kentaro) <kentaro跡ps.catv.ne.jp>
田向正一 (TAMUKI Shoichi) <tamuki跡linet.gr.jp>
卜部昌平 (URABE Shohei) <root跡mput.dip.jp>
末永圭司 (SUENAGA Keishi) <s_keishi跡mutt.freemail.ne.jp>
SUZUKI Koji <k跡kekyo.net>
(敬称略・順不同)
これ以外にも,TiMidity++ メーリングリストの皆様をはじめ多くの方か
ら情報,バグ報告などを頂いています。
WRDで使用される端末ターミナルエミュレーションのコードは X Consotium
等の kterm のコードの一部を取り込み,またそれを参考に実装を行いました。
和訳は松本庄司(MATSUMOTO Shoji )。この和訳は正
確かどうかは保証できません。あなたがこの和訳の使用でいかなる損害を受け
ても責任は持ちません。
TiMidity++ のオプション,cfg ファイルの解説は出雲正尚(IZUMO
Masanao <iz跡onicos.co.jp>)が,
その nroff 化,およびマニュアルのリライトは長野大介(NAGANO Daisuke
<breeze.nagano跡nifty.ne.jp>)が行いました。
現在は,田向正一(TAMUKI Shoichi <tamuki跡linet.gr.jp>)と卜部昌平(URABE
Shohei <root跡mput.dip.jp>)が,マニュアルをメンテナンスしています。