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19.9.1 TeX編集コマンド

ここでは、TeXの入力ファイルのテキストを編集するために TeXモードに用意してある特別なコマンドについて述べます。

"
文脈に応じて‘``’、‘"’、‘''’を挿入する (tex-insert-quote)。
C-j
段落区切り(空行を2つ)を挿入し、 まえの段落の中括弧やドル記号の対応を検査する (tex-terminate-paragraph)。
M-x tex-validate-region
リージョン内の各段落に対して、 中括弧やドル記号の対応を検査する。
C-c {
{}’を挿入して、そのあいだにポイントを移動する (tex-insert-braces)。
C-c }
対応が取れていないつぎの閉じ中括弧のあとに 前向きにポイントを移動する(up-list)。

TeXでは、文字‘"’はまず使いません。 引用を始めるには‘``’を、終るには‘''’を使います。 こういったテキスト整形上の規則の下で編集作業を楽にするために、 TeXモードでは‘`’と‘'’を対で挿入する (tex-insert-quote)ようにキー"の意味を変えています。 より正確にいえば、このコマンドは白文字や開き中括弧のあとでは‘``’を、 バックスラッシュのあとでは‘"’を、 これ以外の文字のあとでは‘''’を挿入します。

特別な文脈で‘"’文字が必要であれば、C-qを使って挿入します。 また、‘"’に数引数を指定すると、その個数分の‘"’を入力します。 ローカルマップからバインディング(see Key Bindings)を取り除けば、 ‘"’を展開する機能をオフにできます。

TeXモードでは、‘$’にはTeXの数式モードの区切りの対応を確認する ための特別な構文コードが設定されています。 数式モード終了を意味する‘$’を挿入すると、 それに対応した数式モード開始の‘$’を1秒間ほど表示します。 これは、閉じ中括弧を挿入すると、 それに対応する開き中括弧を表示する機能と同じです。 しかし、‘$’が数式モードを開始するものか終了するものかを 知る方法がありません。 したがって、数式モード開始の‘$’を挿入しても、 たとえ実際には無関係であっても、 まえにある‘$’が対応しているかのように表示されてしまいます。

TeXは、中括弧を必ず対応が取れている区切りとして使います。 ユーザーの中には、中括弧を別々に入力するよりも、 つねに対応が取れている中括弧の入力を好む人もいます。 C-c {tex-insert-braces)と打てば中括弧の対を挿入できます。 さらに、ポイントがそれらのあいだに置かれるので、 中括弧の内側にテキストを挿入できます。 そのあとに、コマンドC-c }up-list)を使って、 閉じ中括弧のうしろに移動します。

中括弧の対応を調べるコマンドは2つあります。 C-jtex-terminate-paragraph)は、 ポイントの直前の段落を検査してから、新たな段落を始める空行を2つ挿入します。 対応していない中括弧があれば、エコー領域にメッセージを表示します。 M-x tex-validate-regionは、リージョンの段落を1つ1つ検査します。 エラーはバッファ‘*Occur*’に表示されます。 このバッファでC-c C-cMouse-2を使えば、 特定の非対応箇所へ移動できます。

TeXモードでは、Emacsコマンドは中括弧だけでなく、 括弧(‘()’)や角括弧(‘[]’)も数えています。 これは、TeXの構文を検査する目的からいえば、厳密には正しくありません。 しかし、括弧や角括弧はテキスト内で対応する区切りとしてよく使われますし、 各種の移動コマンドや対応関係を自動表示するコマンドが それらを扱えると便利です。