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3.1 コマンドの構文

GDBコマンドは1行で入力されます。 1行の長さには上限がありません。 行は、 コマンド名で始まり、 コマンド名によって意味が決まる引数がそれに続きます。 例えば、 stepコマンドはstepを実行する回数を引数に取ります。 例えば、 `step 5'のようになります。 stepコマンドは引数なしでも実行可能です。 コマンドによっては、 全く引数を受け付けないものもあります。

GDBコマンド名は省略可能です。 ただし、 省略された名前があいまいなものではあってはなりません。 省略形は、 それぞれのコマンドのドキュメント内に記載されています。 場合によっては、 あいまいな省略形も許されることがあります。 例えば、 sは、 文字sで始まるコマンドがほかにも存在するにもかかわらず、 stepコマンドの省略形として特別に定義されています。 ある省略形が使用可能か否かは、 それをhelpコマンドへの引数として使用することで判定可能です。

GDBへの入力として空行を与える (<RET>キーだけを押す) ことは、 1つ前に実行したコマンドを繰り返すということを意味します。 ただし、 いくつかのコマンド (例えば、runコマンド)は、 この方法で実行を繰り返すことはできません。 意図に反して再実行してしまうと問題を引き起こす可能性があるため、 繰り返し実行してほしくないようなコマンドの場合です。

listコマンドとxコマンドは、 <RET>キーにより繰り返し実行すると、 新たに引数が生成されて実行されるので、 前回実行されたときと全く同様の状態で繰り返し実行されるわけではありません。 こうすることで、 ソース・コードの内容やメモリの内容を容易に調べることができます。

GDBは、 別の用途でも<RET>キーを使用します。 moreユーティリティと同様の方法で、 長い出力を分割して表示する場合です (see Screen size)。 このような場合、 <RET>キーを余分に押してしまうことは往々にしてありえるので、 GDBはこのような表示方法を使用しているコマンドについては、 <RET>キーによる繰り返し実行を行いません。

テキストの中に#記号があると、 そこから行末まではコメントになります。 コメントの部分は実行されません。 これは、 特にコマンド・ファイルの中で便利です (see Command files)。