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28.18 ウィンドウシステムのセレクション

Xサーバーは、アプリケーションプログラムのあいだでデータを 転送するためのセレクション(selection)の集まりを記録します。 さまざまなセレクションは、Emacsではシンボルで表した セレクション型(selection type)で区別されます。 Emacsを含むXクライアントは、任意の型のセレクションを読んだり設定できます。

— 機能: x-set-selection type data

この関数は、Xサーバーに『セレクション』を設定する。 これは2つの引数、セレクション型typeと それに割り当てる値dataを取る。 datanilであると、当該セレクションを削除することを意味する。 さもなければdataは、文字列、 整数(あるいは2つの数のコンスセルかリスト)、 オーバレイ、同じバッファを指す2つのマーカのコンスセルのいずれかである。 オーバレイやマーカの対は、 オーバレイのテキストやマーカのあいだのテキストを表す。

引数dataは、ベクトルではない正しいセレクション値のベクトルでもよい。

可能な各typeには型に依存した独自のセレクション値がある。 typeの普通の値はPRIMARYSECONDARYである。 これらのシンボルは、Xウィンドウシステムの慣習に従って 大文字の名前である。 デフォルトはPRIMARYである。

— 機能: x-get-selection &optional type data-type

この関数は、Emacsや他のXクライアントが設定したセレクションを参照する。 これは2つの引数、typedata-typeを取る。 セレクション型typeのデフォルトはPRIMARYである。

引数data-typeは、他のXクライアントから得た生データを Lispデータに変換するために使用するデータ変換の書式を指定する。 意味のある値は、TEXTSTRINGCHARACTER_POSITIONLINE_NUMBERCOLUMN_NUMBEROWNER_OSHOST_NAMEUSERCLASSNAMEATOMINTEGERである。 (これらのシンボルは、Xウィンドウシステムの慣習に従って 大文字の名前である。) data-typeのデフォルトはSTRINGである。

Xサーバーには、アプリケーションのあいだで移動するテキストや他のデータを 保存できる番号付きのカットバッファ(cut buffer)の集まりもあります。 カットバッファは廃れているとみなされますが、 それらを使っているXクライアント向けにEmacsはカットバッファを扱えます。

— 機能: x-get-cut-buffer n

この関数は、番号nのカットバッファの内容を返す。

— 機能: x-set-cut-buffer string

Emacsが連続したキルをキルリングで順に下向きに移動するのと同様に、 この関数は一連のカットバッファの値を順に下向きに移動してから 文字列stringを最初のカットバッファ(番号0)に保存する。

— 変数: selection-coding-system

この変数は、セレクション、クリップボード、カットバッファを 読み書きするときに使うコーディングシステムを指定する。 see Coding Systems。 デフォルトはcompound-textである。