GNU Emacsでは、コマンド行引数によりEmacs起動時にさまざまな動作を指定できます。 これらは他のエディタとの互換性のためや 洗練されたふるまいを担うものです。 通常の編集作業にはそれらを使うことはお勧めしません。
`-'で始まる引数はオプション(option)です。 それ以外の引数は訪れるべきファイルを指定します。 Emacsは、起動すると指定したファイルを読み込みます。 コマンド行のいちばん最後のファイル名がカレントバッファとなりますが、 それ以外のファイルも別々のバッファに入っています。 他のGNUのコマンドと同様に、 特殊な引数`--'は、これよりあとの引数が`-'で始まっている場合でも、 すべてファイル名であることを指定します。
Emacsのコマンドオプションでは、 Emacsが使用するXのウィンドウのサイズや位置、表示色などの さまざまなことを指定できます。 バッチモードでLisp関数を実行するなどの進んだ利用のための オプションも若干あります。 ここでは、目的別に利用可能なオプションを説明します。
オプションの書き方は2通りあります。 1文字の`-'で始まる短い形式と、`--'で始まる長い形式です。 たとえば、`-d'は短い形式であり、 `--display'はこれに対応した長い形式です。
`--'で始まる長い形式のほうが覚えやすいですが、 打ち込むのは面倒です。 しかし、オプション名を完全にすべて入力する必要はありません。 曖昧でないように省略すれば十分です。 長いオプションが引数をとる場合には、 オプション名と引数のあいだに空白か等号を置きます。 つまり、 `--display sugar-bombs:0.0'と書くか、 `--display=sugar-bombs:0.0'と書きます。 関係が明瞭になることもあり、以下の例でもつねに等号を使っていますので、 等号を使うようお勧めします。
ほとんどのオプションは、Emacsをどう初期化するか、あるいは、 Emacsセッションのパラメータをどう設定するか指示します。 これらを初期化オプション(initial options)と呼びます。 動作を指定するオプションもいくつかあります。 たとえば、ライブラリをロードする、関数を呼び出す、Emacsを終了するなどです。 これらを動作オプション(action options)と呼びます。 これらとファイル名をあわせて動作引数(action arguments)と呼びます。 Emacsはすべての動作引数を書かれた順に処理します。