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Emacsの通常のコメント用コマンドは、コメントをコードのあとにも置けると仮定します。 Fortranでは、標準的なコメントの構文は、1つの行全体を必要とします。 そのため、Fortranモードでは、 Emacsの通常のコメント用コマンドを置き換え、新たな変数をいくつか定義しています。
Fortranモードでは、文字`!'で始まり他のテキストのあとにも置ける
非標準的なコメントの構文も扱えます。
しかし、この構文を受け付けるFortranコンパイラは限られるため、
まえもって指定しておかない限り、
Fortranモードは非標準のコメントを使いません。
このスタイルのコメントを使うには、
変数comment-start
に`"!"'を設定します(see Variables)。
fortran-indent-comment
)。
fortran-comment-region
)。
FortranモードのM-;は、
コマンドfortran-indent-comment
に再定義されています。
通常のM-;と同じく、既存のコメントを認識して、
そのテキストの桁位置を揃えます。
コメントがなければ、コメントを挿入して桁位置を揃えます。
しかし、Fortranモードのコメントの挿入と揃え方は、
他のモードと同じではありません。
新たにコメントを挿入する場合、 現在行が空行のときは(1行全体を占める)行コメントを挿入します。 空行でないとき、非標準のコメントを使うように指定してあれば 非標準の`!'コメントを挿入します。 いずれでもないときには、現在行のまえに行コメントを挿入します。
非標準の`!'コメントは他の言語のコメントと同じように揃えられますが、
行コメントの場合はようすが異なります。
標準の行コメントでは、コメント区切りはつねに0桁目にある必要があります。
コメント内部のテキストだけを揃えます。
fortran-comment-indent-style
を設定して、
3種類の揃え方を選べます。
fixed
fortran-comment-line-extra-indent
と文に対する最小字下げ幅を合計し
た桁位置にテキストを揃える。
デフォルトはこれ。
文の最小字下げ幅は、
固定フォーマットの継続行スタイルの場合には
fortran-minimum-statement-indent-fixed
の値、
タブフォーマットの場合にはfortran-minimum-statement-indent-tab
の値。
relative
fortran-comment-line-extra-indent
だけ余計に桁をずらす。
nil
また、行コメントの字下げ文字を変更したければ、
変数fortran-comment-indent-char
に好みの1文字を設定してください。
Fortranモードには、comment-line-start
と
comment-line-start-skip
の2つの変数が新たに導入されています。
これらは、コードのあとに置く通常のコメントに対するcomment-start
と
comment-start-skip
と同様の役割を、行コメントに対して果たします。
どちらもFortranモードが適切に設定するので、
変更する必要はありません。
Emacsの通常のコメント用コマンドC-x ;は、再定義されていません。 このコマンドは`!'コメントを扱えます。 `!'コメントを使っていない場合には、 このコマンドはFortranモードでは役に立ちません。
コマンドC-c ;(fortran-comment-region
)は、
リージョン内のすべての行の先頭に`C$$$'を挿入して
コメントに変えます。
数引数を指定すると、行の先頭から`C$$$'を削除して、
リージョンを生きたコードに戻します。
これらのコメントに使う文字列は、
変数fortran-comment-region
の設定で制御できます。
ところで、ここではコマンドと変数に同じ名前が使われています。
LispやEmacsにおいては、使用される文脈から
コマンドと変数をつねに区別できるので、
このような名前の使い方が問題を起こすことはありません。