netCDF(network Common Data Form)は,自己記述型の配列指向型データフォーマットと,それを取り扱うライブラリ群の総称です.このnetCDF形式ファイルを用いて,変数情報を含んだ多次元の配列データを取り扱うことができます.netCDFについての詳細は,Unidataのサイト(http://www.unidata.ucar.edu/software/netcdf/)を参照してください.
「自己記述型」とは,データにデータ内容の情報が含まれている,ということです.例えば,変数「height」は,「標高データ」で「単位がm」で「独立変数として変数x,y,timeを持つ」といった情報をファイルに埋め込むことができ,netCDFを利用するソフトウェアはそれらの情報を取り出すことができます.
Samurai Graphは,JavaのnetCDFライブラリを通じて,netCDF形式ファイルを簡単に取り扱うことができます.例えば,x,y変数に従属する値を含んだデータであれば,自動的に内容を解釈し,簡単にx-y-値の疑似カラーマップを描画することができます.また,time変数を含んだデータであれば,デフォルトでtime変数が時間軸に設定され,アニメーション表示にこの時間軸情報を利用することができます.
Samurai GraphでnetCDF形式ファイルを読み込んだ時には,次の機能を利用することができます.
例えば,時間変数を持ったグラフを描画したとき,グラフとして描画されるのはある時刻でのグラフであり,これがどの時刻でのグラフなのかをユーザが図中から読み取ることができませんが,このような表示されていない変数情報を文字ラベルとして書き出すことができます.(項3. 「変数情報ラベルの追加機能」参照)
多次元データから複数のXY情報を取り出し,スカラー型 XY データとして描画することができます.(項4. 「ピックアップ機能」参照)
時間変数情報を持ったnetCDFデータの場合は,アニメーション表示が可能です.描画されたグラフが,時間変数情報に従って変動します.(項5. 「アニメーション機能」参照)
ネットワーク上にあるnetCDF形式ファイルを開くことができます.(項6. 「ネットワーク上のファイルの利用」参照)
netCDF形式ファイル利用時のデータカラム選択ダイアログを示します.
netCDF形式ファイルをデータファイルとして読み込んだ場合,従来のテキストデータを読み込んだ時に実行できる機能に,次の機能が追加されます.
変数の名前,変数が読み込まれ,適切なカラムタイプを自動的に選択します.
テキスト形式で設定できるカラムタイプに加えて,「Time」「Pickup」をカラムタイプとして指定できます.
変数属性ダイアログを呼び出し,目的の変数の情報を確認することができます.
カラムタイプに「Pickup」を指定したとき,ピックアップする変数の最小インデックス,最大インデックス,ステップを指定することができます.
カラムタイプとして指定しない独立変数の値は,スライダーで設定することができます.フィギュアに描画されるのは,このスライダーで設定した独立変数値におけるグラフになります.
グローバル属性ダイアログを呼び出し,グローバル属性を確認することができます.
netCDF形式の多次元データを表示したとき,描画されているグラフは,表示されていない(軸に関連づけられていない)変数のある値での描画情報となります.例えば,時間変数を持ったグラフを描画したとき,グラフとして描画されるのはある時刻でのグラフであり,これがどの時刻でのグラフなのかをユーザが図中から読み取ることができません.このような,表示されていない変数情報をラベルとして書き出すことができます.
データを右クリックし,メニューから
を選択します.データの変数情報ラベルがフィギュア上に配置されます.例の場合は変数情報としてtime変数情報が表示されます.以降は,生成したラベルを必要な場所にドラッグして配置してください.
ピックアップ機能は,多次元データから複数のXY情報を取り出し,スカラー型 XY データとして描画する機能です.例えば,次のようなXYZ情報を持ったデータがあったとき,Y値をあるステップで取り出し,X-Zグラフを描画することができます.
ピックアップの方法は,次の通りです.
スカラー型 XY データのカラム情報入力ダイアログで,ピックアップしたい変数を「Pickup」に指定します.ここではy変数をピックアップ対象とします.
Index Selection for Pickup Dataと示された枠内で,ピックアップする配列変数の開始インデックス,終了インデックス,インデックスのステップ幅を指定します.このデータのy変数情報は,y[0]~y[11] (0~11番目)までありますが,そのうち2番目から8番目までを2ステップ幅で取り出す,つまり,y変数がy[2],y[4],y[6],y[8]の場合のデータを取り出すことにします.
グラフに表示させたいX,Yの変数もそれぞれ指定します.
y変数でピックアップされたXYグラフが描画されます.以降は,必要に応じてデータラベルや軸ラベルなどを編集してください.
時間変数情報を持ったnetCDFデータは,アニメーション表示を行うことができます.パラパラアニメのように,Time軸に指定した時間にそって,描画されたグラフが変動します.
time変数を持つnetCDFデータを開き,time変数のカラムタイプに「Time」を指定します.
データの右クリックメニューから,
を選択します.アニメーションの設定ダイアログが現れます.設定は次の通りです.
1フレームあたりの秒数
アニメーションの繰り返し
現在のフレームの時刻
時刻スライダー.現在のフレームが,時間軸の中でどのあたりかを視覚的に示す.
制御ボタン.左から「再生」「一時停止」「停止」「最初のフレームに戻る」「一つ前のフレームに戻る」「一つ後のフレームに進む」「最後のフレームに進む」
再生ボタンを押すと,アニメーションを開始します.下図は,上図から2フレーム(2日)進んだ時の様子です.
time変数に限らず,別の変数のカラムタイプを「Time」に指定すれば,その変数を時間軸とみなして,アニメーションを表示させることも可能です.
ネットワーク上にあるnetCDF形式ファイルを開くことができます.
ここで,ネットワーク上にあるファイルとは,アクセス制限のない領域に置かれている次のものを指します.
ローカルエリアネットワーク上のファイル
オフィス等のローカルなネットワークを通して直接アクセスできるファイルです.
httpによってアクセスするファイル
一般に http:// で始まるファイルです.
ネットワーク上のnetCDF形式ファイルを開くには,次のように操作します.
メニューから
→ を選択します.データを表示するフィギュアを設定し,
を押します.「Select the Data File」ダイアログで,「URL of netCDF」タブを開き,テキストボックスにファイルのパスを記入します.
以降は,通常のデータファイルを開く場合と同様です.