実装の目的の一つは、弱参照によって恩恵を受けない数のような型のオブジェクトにオーバーヘッドを負わせることなく、どんな型でも弱参照メカニズムに加わることができるようにすることです。
弱く参照可能なオブジェクトに対して、弱参照メカニズムを使うために、拡張はPyObject*フィールドをインスタンス構造に含んでいなければなりません。オブジェクトのコンストラクタによって、それはNULL に初期化しなければなりません。対応する型オブジェクトのtp_weaklistoffsetフィールドをフィールドのオフセットに設定することもしなければなりません。また、Py_TPFLAGS_HAVE_WEAKREFSをtp_flagsスロットへ追加する必要もあります。例えば、インスタンス型は次のような構造に定義されます:
typedef struct {
PyObject_HEAD
PyClassObject *in_class; /* クラスオブジェクト */
PyObject *in_dict; /* 辞書 */
PyObject *in_weakreflist; /* 弱参照のリスト */
} PyInstanceObject;
インスタンスに対して静的に宣言される型オブジェクトはこのように定義されます:
PyTypeObject PyInstance_Type = {
PyObject_HEAD_INIT(&PyType_Type)
0,
"module.instance",
/* 簡単のためにたくさんのものを省略... */
Py_TPFLAGS_DEFAULT | Py_TPFLAGS_HAVE_WEAKREFS /* tp_flags */
0, /* tp_doc */
0, /* tp_traverse */
0, /* tp_clear */
0, /* tp_richcompare */
offsetof(PyInstanceObject, in_weakreflist), /* tp_weaklistoffset */
};
型コンストラクタは弱参照リストをNULLに初期化する責任があります:
static PyObject *
instance_new() {
/* 簡単のために他の初期化を省略 */
self->in_weakreflist = NULL;
return (PyObject *) self;
}
さらに一つだけ追加すると、どんな弱参照でも取り除くためには、デストラクタは弱参照マネージャを呼び出す必要があります。オブジェクトの破壊のどんな他の部分が起きる前にこれを行うべきですが、弱参照リストが非NULLである場合はこれが要求されるだけです:
static void
instance_dealloc(PyInstanceObject *inst)
{
/* 必要なら一時オブジェクトを割り当ててください。
しかし、まだ破壊しないでください。
*/
if (inst->in_weakreflist != NULL)
PyObject_ClearWeakRefs((PyObject *) inst);
/* 普通にオブジェクトの破壊を進めてください。 */
}