作者 :REB
メール:m1a1@bungie.org
サイト:http://bighouse.bungie.org/m1/
作成日:July 31, 2001
修正日:September 30, 2002
翻訳者:Logue
メール:logue@hotmail.co.jp
サイト:http://mjolnir.logue.be/M1A1.html
作成日:2008年3月29日
「第一ブースター噴射終了。シャトル・ミラタ、軌道操縦準備完了。」
シャトル・ミラタはその強力なロケットブースターを下にベイから飛び立った。離陸終了時の揺れの後、眼下に遠のいてゆくコロニーの運命を君は考えずにはいられない。322年前に感じたと同じように、不安な思いにかられながら、太陽系の有数なリーダーの一人、マーカス・チベリウス・ブエンディアを思い浮かべる。人類は危険を冒して地球という古い枠を飛び出し、全地球の歴史上かつてない壮大でそしてリアルな未来へ挑もうとしている。地球宇宙連合(Unified Earth Space Council - UESC)大統領ブエンディアが、マラソン打ち上げの前夜、太陽系の人々におこなったスピーチが君の記憶によみがえる。「人類始まって以来のこの偉業は、人類の平和と安全を目的とするものです。この最新技術を備えたノアの箱舟とも呼べる宇宙船が、我々人類の英知の結晶となり、また時間や距離が我々の間にある絆を弱めないことを願いましょう。」 <デュランダル>ドッキングベイを減圧せよ。
夢想にふけっている間、君は重力がゼロになったことも、シャトルとマラソンとの飛行を示す装置やライトにもほとんど気付くことがない。しかし、警告ライトが点き、デュランダルの声が通信装置から聞こえてくると、君はすぐに我に返った。
「ドッキングベイNo.1:減圧完了。ミラタ、こちらデュランダル。着陸を中止せよ。繰り返す。着陸を中止せよ。」そしてかすかな笑い声。何か酷い事が起こったという笑いだ。
即座に君の反射神経が行動を起こし、君は自動応答モードに切り替わる。通信機のスイッチを押して君は叫ぶ。 「コロニー・ステーション、デュランダルが着陸ベイの圧力を下げた。マラソン、誰か聞こえないのか。ドッキング・ベイNo.1で問題が発生した。デュランダルだ、奴がどうかしちまった...」通信ライトが消えている。「...そんな馬鹿な。」
<デュランダル>命令 - コロニーとシャトル間の通信を遮断せよ。命令 - シャトル・エアロックを循環せよ。
コントロールパネルで別のライトが赤く光ったのを見て、君は一体何がどうなっているのか半狂乱にコントロールパネルを見回す。シャトルのコンピュータが報告する。「シャトル・エアロック循環初期化開始」
<デュランダル>命令 - ミラタ・キャビンの内部ドア循環 「キャビン減圧まで1分。」
「くそっ。」君は怒りを抑えきれずにコントロールボードを叩き、ボードが歪んだ。パニックに陥って君はシートベルトを引きちぎり、シャトル・キャビンの裏側に向かった。「キャビン減圧まで40秒。」君は焦りながらも十分な時間があることを知っていた。
無重力の中、君は戦闘スーツのあるロッカーへ向かう。3年程前、コロニー周辺のワークチームを攻め続けていたチョキセンを撃退して以来、君はこの戦闘スーツを着用していないが、いつも訓練だけは怠ったことがない。おかしなことに君はいつもコロニーの問題解決役だった。君はみんなより体格もよく、たくましく、そして武器の腕も確かだ。ゲームをすれば、いつも君が一番いいスコアを取ってヒーローだった。そして今、このコロニーが7年前創設されて以来の危機が君を待ち受けているようだ。君は敏速にスーツを身に着ける。「キャビン減圧まで30秒。」そしてヘルメットを着用する。
<デュランダル>命令 - シャトル・エンジン最大噴射準備 <ミラタ・コンピュータ>しかしそれは危険です。マラソンとミラタの衝突を引き起こす結果になります。 <デュランダル>それはおまえの心配することではない。命令 - シャトル最大噴射準備。準備完了後、ただちに実行。
気が狂ったようにエアロック周辺のライトが点滅する。スーツの中の空気は冷たく、いやな臭いがする。しかし、これなしでは命に関わる。「キャビン減圧開始。シャトルエアロック循環初期化完了。」
エアロックのシリンダ状の通路を灰色の減圧ガスが覆っていく。エアロック通路に発生した霧で、さっきまで見えていたタウ・セティの星座にかわり、「ツンサーの幻」(空間がかすんだり、くっきり見えたり循環する現象)が現れる。この「ツンサーの幻」は君にとっては見慣れたものだ。人類がテレポータを使用してからすでに500年になり、君自身、生まれる前からテレポータを経験してきている。しかしさすがの君もこれだけ大規模な現象を目にしたことはないし、またランディング・パッドなしで経験したこともない。そしてさらにもうひとつ初めての経験、君の目の前に宇宙戦闘機が姿を現したのだ。この機種は見たことがない。エイリアンの船に違いない。
最初がいかれたコンピュータで、今度はエイリアンか!いつもは落ち着いている君も、この時ばかりは取り乱さずにはいられない。こんなに酷い日が今までにあっただろうか。しかし、さらに悪いことに、エイリアンの戦闘機は旋回を始めると、進路を無防備なミラタに向けた。
「エンジン最大噴射まで5秒。3、2、1...」
カウントダウンを聞いている余裕はない。直感で行動するしかない。機動ポッドへの入り口は君の真後ろにある。スイッチを力強く押してドアを開ける。ハッチが上がり、君がまさに乗り込もうとしたとき、ミラタのメイン・エンジンが最大噴射した。気体が激しく揺れ、君はポッドに頭から投げ込まれて、レバーやダイヤルやデコボコの集まった場所に落ちた。
ハッチが君の背後で閉まった。君が態勢を整える前に、エイリアンの戦闘機からミサイルが現れ、ミラタに向かって発射された。ミラタのコンピュータは、向かってくるミサイルを見つけ、君がすでにポッドに乗り込んだことを知ると、緊急用燃料に着火した。君はシャトル外に発射され、シャトル爆発の衝撃波に乗っているようだ。
自分の両腕がやっと自由になったとき、戦闘スーツの通信機からデュランダルの皮肉な声が聞こえた。「あのちっぽけなコンピュータめ、いつもタイミングがいいなぁ。君が宇宙のもくずになっていないことをエイリアンに伝えようか...うむ...」 「そんな馬鹿なことができるか。馬鹿コンピュータめ。」デュランダルはくすくす笑いながら言う。
「ああ、ラッキーだったね。新しい気晴らしを見つけたよ。エイリアンと一緒に楽しませてもらうことにした。君が辿り着いたら尊敬してやるよ。」君には、目を見開き、唇をゆがめて、不気味な笑いを浮かべる邪悪なコンピュータの顔が目に浮かぶようだ。その笑い顔に、君は過去の何かを思い出しそうになるが、それが何かをはっきりとは思い出せない。
ほっと深い溜息をついた後、自分の周囲を見渡してみる。君は現在ドッキング部分の左側近くで、マラソンの中央部分に向かって無重力に漂っている。ポッドの姿勢制御ロケットをうまく使えばすぐに辿り着けるが、エイリアンに気付かれてたちまち殺されてしまうのがオチだ。まずは気を落ち着けて、ポッドの酸素供給レベルを確認し、じっと待つ。
君は空想家だ。君は常にイマジネーションの間を駆け巡っている。いつもの癖で空想をはじめる...、火星での子供時代、7歳の時亡くなった父親のこと、そして彼の最後の言葉、「私が誇れる人間になれ。けっして名誉を汚すな。」22分後、君はイマジネーションの世界から引き戻される。安全を確かめて、君は空になっている機動ポッド用ドッキングベイに向かってロケットをふかした。ピストルを出して、ドアのスイッチを押す。
おかしなことに、このシーンに君は出会ったことがあるような気がする。まるで昔の夢のようだ。しかし、はっきりとは思い出せない...
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