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3.1 テキストを挿入する

編集中のテキストに印字文字を挿入するには、 単にその文字を打ちます。 こうすると、打鍵した文字がバッファのカーソル位置 (すなわちポイント位置。see Point)に挿入されます。 カーソルは右(前向き)に移動して、 それにあわせてカーソル以降のすべてのテキストも右(前向き)に移動します。 バッファ内のテキストが‘FOOBAR’であって、 カーソルが‘B’に重なっているとすると、 XXと打つとカーソルは‘B’に重なったままで、 ‘FOOXXBAR’となります。

挿入したばかりのテキストを削除(delete)するには、 <DEL>キーを使います。 <DEL>キーはカーソルのまえの文字を削除します (カーソルが重なっている文字ではない。 その文字はカーソルのうしろにある)。 カーソルとカーソル以降のすべてのテキストは左(後向き)に移動します。 つまり、図形文字を1つ打った直後に<DEL>を打つと、 挿入を取り消したことになります。

行を終えて新たな行を打ち始めるには、<RET>を打ちます。 これにより、バッファに改行文字が挿入されます。 ポイントが行の途中にある場合、<RET>は行を分割します。 カーソルが行頭にあるときに<DEL>を打つと、 直前の改行文字が削除されて直前の行と連結されます。

自動詰め込み(auto-fill)モードと呼ばれる特別なマイナモードを オンにしておくと、行が長くなりすぎたときにEmacsが自動的に行を分割します。 自動詰め込み(auto-fill)モードの使い方は、See Filling

既存のテキストを右に押しやるのではなく、 テキストを順次置き換える(上書きする)のが好みならば、 マイナモードの1つである上書き(overwrite)モードをオンにします。 See Minor Modes

印字文字と<SPC>は直接挿入できますが、 それ以外の文字は編集コマンドとして機能して、それ自体を挿入しません。 コントロール文字や8進で0200を超える文字コードの文字を挿入したい場合には、 まずControl-qquoted-insert)と打って、 それらの文字をクォート(quote) 1 する必要があります。 (Control-qは、通常、C-qと略す。) C-qの使い方には、つぎの2つがあります。

マルチバイト文字が使用可ならば、 8進コード0200から0377までは正しい文字ではありません。 この範囲のコードを指定すると、 C-qはISO Latin-n文字集合の利用を意図しているとみなして、 指定したコードを対応するEmacs文字コードに変換します。 See Enabling Multibyte。 言語環境の選択(see Language Environments)を介して、 ISO Latin文字集合を1つ選びます。

8進数のかわりに10進数や16進数を使うには、 変数read-quoted-char-radixに10や16を設定します。 基数が10を超える場合には、aから始まるいくつかの英字は 文字コードの一部として数字の桁と同じように扱われます。

C-qに数引数を指定すると、 クォートした文字を何個挿入するかを指定します(see Arguments)。

カスタマイズ情報: ほとんどのモードでは、 <DEL>はコマンドdelete-backward-charを実行します。 <RET>はコマンドnewlineを実行します。 自己挿入の図形文字はコマンドself-insertを実行します。 self-insertは、これを起動した文字が何であってもその文字を挿入します。 いくつかのメジャーモードでは、 <DEL>を別のコマンドにバインドし直しています。


Footnotes

[1] 【訳注】なんらの解釈もせずに、単なる文字として扱う。