Xウィンドウシステムのフォントは、典型的には、 1つのアルファベットや文字集合の形を定義しています。 したがって、Emacsが扱える文字の範囲全体を表示するには、 たくさんのフォントを集めたものが必要です。 Emacsでは、そういったフォントを集めたものを フォントセット(fontset)と呼びます。 フォントセットは、ある文字コード範囲を扱うフォントのリストで定義されます。
各フォントセットには、フォントと同様に名前があります。 使用可能なXのフォントは、Xサーバーが定義します。 しかし、フォントセットはEmacsの中で定義されます。 いったんフォントセットを定義すれば、フォントを使える場面ではどこでも、 その名前を指定してEmacs内のフォントセットを使用できます。 もちろん、Emacsのフォントセットでは、Xサーバーで使えるフォントだけを使えます。 ある文字が画面で中抜きの箱で表示されたなら、 その文字に使用したフォントセットには、 その文字に対するフォントがないことを意味します。
Emacsは、標準フォントセットとスタートアップフォントセットの 2つのフォントセットを自動的に作ります。 標準フォントセットは、非ASCII文字向けの広い範囲のフォントを もっとも持ちそうなものです。 しかし、これは、Emacsが使うデフォルトではありません。 (デフォルトでは、 Emacsはボールドとイタリックの変種のフォントをみつけようとする。) オプション‘-fn’やXのリソース‘Font’(see Font X)で 使用する標準フォントセットを指定できます。 たとえば、つぎのようにします。
emacs -fn fontset-standard
フォントセットが、すべての文字コードに対するフォントを 指定する必要はありません。 フォントセットが、ある文字に対してフォントを指定していない、あるいは、 システムに存在しないフォントを指定している場合には、 その文字を正しく表示できません。 そのかわりに、中抜きの箱を表示します。
フォントセットの高さと幅は、ASCII文字で決定されます
(つまり、そのフォントセット内でASCII文字用に使われるフォント)。
フォントセットのあるフォントが異なる高さや幅を持つ場合には、
そのフォントを割り当てられた文字は、
フォントセットの大きさに切り詰められます。
highlight-wrong-size-font
がnil
以外ならば、
これらのまちがった大きさの文字は箱で囲まれて表示されます。