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1.1 ポイント

Emacsでは、端末のカーソルが編集コマンドの作用する位置を示します。 この位置のことをポイント(point)と呼びます。 多くのEmacsコマンドはポイントをテキスト中で移動し、 テキスト中のさまざまな箇所で編集できるようにします。 マウスのボタン1をクリックしても、ポイントを置けます。

カーソルはある文字に重なって表示されますが、 ポイントは2つの文字のあいだにあると考えなければいけません。 つまり、ポイントは、カーソルが重なっている文字のまえにあります。 たとえば、‘frob’というテキストで、‘b’にカーソルがある場合、 ポイントは‘o’と‘b’のあいだにあります。 その位置に‘!’という文字を挿入すると、‘fro!b’という結果になり、 ポイントは‘!’と‘b’のあいだにあります。 つまり、カーソルは‘b’に重なったままで、実行前と同じです。

『ポイント』を意味して『カーソル』といったり、 ポイントを移動するコマンドのことを『カーソル移動』コマンドと いうこともあります。

端末にはカーソルは1つしかなく、 出力中は出力されている場所にカーソルが表示される必要があります。 これはポイントが移動したということではありません。 端末がアイドルでないと、Emacsにはポイント位置を示す方法がないだけです。

Emacsでいくつかのファイルを編集して、 各ファイルをそれ専用のバッファに入れているとき、 各バッファには独自のポイント位置があります。 バッファが表示されていなくても、 あとで表示されるときに備えてポイント位置を記録しています。

1つのフレームに複数のウィンドウがある場合、 各ウィンドウには独自のポイント位置があります。 カーソルは選択されたウィンドウのポイント位置を示します。 これにより、どのウィンドウが選択されているかもわかります。 複数のウィンドウに同じバッファが表示されている場合には、 そのバッファのポイント位置は各ウィンドウごとに独立にあります。

複数のフレームがある場合、各フレームでは1つのカーソルを表示できます。 選択されているフレームの中のカーソルは塗り潰されます。 他のフレームのカーソルは中抜きの箱で、フレームに 入力フォーカスが与えられると選択されるウィンドウに表示されます。

『ポイント』という用語は、文字‘.’に由来します。 この文字は、現在『ポイント』と呼んでいる値を参照するための (オリジナルのEmacsを記述していた言語)TECOのコマンドです。