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ターゲットシステムの選択

ターゲットシステムの三つの側面を,GNUバイナリファイルユーティリティ に,それぞれ異なる方法で指定することが可能です.

以下の概要では,変数を指定する方法のリストは,優先順位が下がる順序となっ ています.方法は,最初のものがそれ以降のものに優先するようにリストアップ されています.

有効な値をリストアップするコマンドは,実行しているプログラムに設定されて いる値のみリストアップします.それらが@option{--enable-targets=all}で設 定されている場合,ほとんどの利用可能なコマンドはリストアップされますが, いくつかはそうなりません.ターゲットにはnative(ターゲットシステム と同じ形式のホスト)に設定することしかできないものもあるので,すべてのも のが一度に設定可能なわけではありません.

ターゲットの選択

ターゲット(target)とはオブジェクトファイルのフォーマットです.与え られたターゲットは,複数のアーキテクチャでサポートされるかもしれません (see section アーキテクチャの選択).ターゲットの選択は,オペレーティングシ ステムやアーキテクチャによっても,変化があるかもしれません.

有効なターゲットの値をリストアップするコマンドは,`objdump -i'です (出力の最初の列は,関連した情報を含みます).

サンプルの値は以下のとおりです.`a.out-hp300bsd'`ecoff-littlemips'`a.out-sunos-big'

三項目の設定を使用してターゲットを指定することも可能です.これは,ターゲッ トを指定するために`configure'に渡す名前と同種です.三項目の設定を引 数として使用するとき,それを完全に標準のものにする必要があります.ソース に含まれるシェルスクリプト`config.sub'を実行することで,三項目の標 準的なバージョンを知ることが可能です.

サンプルの値は以下のとおりです.`m68k-hp-bsd'`mips-dec-ultrix'`sparc-sun-sunos'

@command{objdump}のターゲット

指定方法:

  1. コマンドラインオプション:@option{-b}または@option{--target}
  2. 環境変数GNUTARGET
  3. 入力ファイルから推測

@command{objcopy}と@command{strip}の入力ターゲット

指定方法:

  1. コマンドラインオプション:@option{-I}または@option{--input-target},もし くは,@option{-F}または@option{--target}
  2. 環境変数GNUTARGET
  3. 入力ファイルから推測

@command{objcopy}と@command{strip}の出力ターゲット

指定方法:

  1. コマンドラインオプション:@option{-O}または@option{--output-target},も しくは,@option{-F}または@option{--target}
  2. 入力ターゲット(上記の"@command{objcopy}と@command{strip}の入力ターゲッ ト"を参照してください)
  3. 環境変数GNUTARGET
  4. 入力ファイルから推測

@command{nm},@command{size},そして@command{strings}のターゲット

指定方法:

  1. コマンドラインオプション:@option{--target}
  2. 環境変数GNUTARGET
  3. 入力ファイルから推測

リンカ入力ターゲット

指定方法:

  1. コマンドラインオプション:@option{-b}または@option{--format} (see section `Options' in Using LD)
  2. スクリプトコマンドTARGET (see section `Format Commands' in Using LD)
  3. 環境変数GNUTARGET (see section `Environment' in Using LD)
  4. リンカエミュレーションで選択されたデフォルトターゲット (see section リンカエミュレーションの選択)

リンカ出力ターゲット

指定方法:

  1. コマンドラインオプション:@option{-oformat} (see section `Options' in Using LD)
  2. スクリプトコマンドOUTPUT_FORMAT (see section `Format Commands' in Using LD)
  3. リンカ入力ターゲット(上記の"リンカ入力ターゲット"を参照してください)

アーキテクチャの選択

アーキテクチャ(architecture)は,オブジェクトファイルを実行する CPUの型式です.その名前にはコロンを含めてもかまわず,それは特定の CPUとプロセッサファミリーの名前を分けます.

有効なアーキテクチャの値をリストアップするコマンドは,`objdump -i' です(二番目のコロンは,関連する情報を含みます).

サンプルの値です.`m68k:68020'`mips:3000'`sparc'

@command{objdump}のアーキテクチャ

指定方法:

  1. コマンドラインオプション:@option{-m}または@option{--architecture}
  2. 入力ファイルから推測

@command{objcopy},@command{nm},@command{size},@command{strings}のアーキテクチャ

指定方法:

  1. 入力ファイルから推測

リンカの入力のアーキテクチャ

指定方法:

  1. 入力ファイルから推測

リンカの出力のアーキテクチャ

指定方法:

  1. スクリプトコマンドOUTPUT_ARCH (see section `Miscellaneous Commands' in Using LD)
  2. リンカの出力ターゲットのデフォルトアーキテクチャ(see section ターゲットの選択)

リンカエミュレーションの選択

リンカエミュレーション(emulation)は,リンカの"個性"で,それはター ゲットシステムのそれ以外の側面に対するリンカのデフォルト値を与えます.特 に以下から成り立ちます.

有効なリンカエミュレーションの値をリストアップするコマンドは,`ld -V'です.

サンプルの値は以下のとおりです.`hp300bsd'`mipslit'`sun4'

指定方法:

  1. コマンドラインオプション:@option{-m} (see section `Options' in Using LD)
  2. 環境変数LDEMULATION
  3. `Makefile'でコンパイル時に組み込まれたDEFAULT_EMULATIONで, それは`config/target.mt'EMULに由来する.


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