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8. サポートされているハードウェアプラットホーム

幾つかの異なったプロセッサオプションを持っているプラットホームについては、 どのプロセッサタイプがサポートされているかについて、 サポートされている CPU の節をご覧下さい。

以下は、プラットホームを以下のように大別して説明します。

8.1 活発にサポートされている開発ボード

以下は、活発かつ継続的に移植作業が行われている開発用ボードの一覧です。 これらのボードでの移植は、信頼性高く動くでしょう。また、 商用 Linux ディストリビューション の章を参照下さい。 これらのメーカは、ハードウェアの追加サポートも提供しています。

Algorithmics P-6032 と P-6064 (及び P-4032, P-5064)

Algorithmics ( http://www.algor.co.uk/) 社は MIPS のプロトタイプ開発用の一連のシングルボードコンピュータを発売していて、 それら全部に関する Linux カーネルを保守しています。

すべてのボードは標準 I/O と Ethernet、ディスクインターフェースをボード上に実装し、 その他のコントローラを追加するための数個の PCI スロットを持っています。 このボードは設定の自由度が高く、どちらのバイト順 (エンディアン) でも動作させることができます。全製品が 64-bit カーネルの対象とできますが、 いまのところ私たちが作業している Linux 関連の仕事は全部 32-bit コードを用いています。

これらの製品は出荷中で、サポートされており、PDF 形式のマニュアルがオンラインで入手可能です。例えば P-6032 については http://www.algor.co.uk/ftp/pub/doc/p6032-user.pdf をご覧ください。

Broadcom BCM91250A

SiByte (TM) の BCM1250 デュアルプロセッサ SOC (System On Chip) 用の評価ボードで、標準 ATX サイズのボードです。高性能のボードです。 詳しくは、 http://www.broadcom.com/ まで。

MIPS Malta

MIPS Technologies 社の Malta ボードは、搭載可能な CPU オプション全てでサポートされています。 www.mips.com 以下の開発者向けページをご覧下さい。

8.2 活発にサポートされているワークステーション

以下は、活発かつ継続的に移植作業が行われているマシンの一覧です。 これらのマシンでの移植は、信頼性高く動くでしょう。

Cobalt Qube と Raq

Cobalt 社 (現 Sun 社) の Cobalt Qube 製品シリーズは、QED 社 (現 PMC Sierra 社) RM5230 を使ったディスプレイレスのローコストサーバシステムです。 Cobalt 社は、可能な限り Qube 固有の仕様に合わせた Linux/MIPS の特別な版を自社で開発しています。Cobalt 社のカーネルは、Cobalt 社の ftp サイト http://www.cobaltnet.com にあります。

DECstation series

現在活発に開発が行われている DECstation の機種は

です。 最近は、ほとんどの作業は Harald Koerfgen (hkoerfg@web.de) さんを中心とする人たちが行っています。インターネットでは DECstation 関連の情報は http://decstation.unix-ag.org/ にあります。

DECstation ファミリは 12MHz の R2000/R2010 を用いた DECstation 2100 から 60 MHz の R4400SC を用いた DECstation 5000/260 まで多岐にわたっています。 その他の DEC マシンについては以下の旧機種の章をご覧下さい。また、x86 や Alpha を使った機種も DECstation の名で売られていたので、注意が必要です。

Silicon Graphics Indy

Indy は、現時点ではもっとも良くサポートされている Silicon Graphics 社の機種です。

Silicon Graphics Origin 200 と 2000

Ralf Bächle (ralf@gnu.org) さんと SGI 社員のチームが Origin 200 への移植に取り組んでいます。 これは現在まだ初期の段階ですが、単一プロセッサでもマルチプロセッサでも走り、 内蔵の IOC3 Ethernet と SCSI ホストアダプタのドライバがあります。

Sony Playstation と Playstation 2

Sony Playstation 2 には日本向けのみの移植があります。これについては、 http://www.ps2linux.com をご覧下さい。 Sony の旧機種 Playstation は R3000 派生の CPU を使っており、Sony の自社開発のグラフィックチップセットを使っています。 このマシンはサポートされていません。

8.3 サポート無し / 過去のサポートのみ

以下のプラットホームは以前はサポートされていましたが、活発な保守はなされていないかもしれません。 これらのプラットホームでは問題が起きる可能性が高いでしょう。 また、関連情報についてはメーリングリストに当たってください。

Acer PICA

Acer PICAMips Magnum 4000 の設計を引き継いでいます。 これは 133MHz 動作の R4400PC CPU か、機種によっては 150MHz 動作で 512KB (オプションで 2MB のものもあります) の二次キャッシュ付きの R4400PC CPU が搭載されており、昔の Magnum の G364 gfx カードの代わりに S3 968 チップを使ったカードが使われています。 このシステムは X サーバ以外はサポートされています。

Baget/MIPS シリーズ

Baget シリーズは R3000 プロセッサを使った次の 3 機種からなります: Baget 23, Baget 63, and Baget 83 です。Baget 23 と 63 は 25MHz の R3500A (基本的には R3000A チップです 【訳注: IDT 社。R3000A と浮動小数点コプロセッサ R3010A を集積したもの】) を使った BT23-201 か 50MHz の R3081E を使った BT23-202 マザーボードを使っています。BT23-202 は VME バスと VIC068 システムコントローラチップを使っています。BT23-202 ボードは内部バスに PCI を使い、内部に VME バスを持っています。 BT23-201 ボードのサポートは Gleb Raiko (rajko@mech.math.msu.su) さんと、 Vladimir Roganov (vroganov@msiu.ru) さんによって行われました。また Serguei Zimin (zimin@msiu.ru) さんの助力がありました。 BT23-202、および 3 枚の BT23-201 ボードを共有 VME バスで接続した Baget 23B のサポートは開発中です。

Baget 83 はリストを完全にするためだけの目的でふれています。これは 2MB の RAM しか積んでおらず、Linux を走らせるにはこれでは小さすぎます。 Baget/MIPS のコードは DECstation 移植向けのコードにマージされています。 両方に向けたソースコードは http://decstation.unix-ag.org/ から入手できます。

DECstation

下記の DECstation モデルは誰も作業していないのでみなしご状態ですが、 これらのモデルに対するサポートは比較的やさしいはずです。

その他の DECstation ファミリは、x86 を使ったものを除いて、CPU だけ MIPS CPU に変えた VAX と見なせます。 これらのマシンについては全く何の情報もなく、VAXLinux ポートが息を吹き返さない限り、 これらのマシンがサポートされることは起こりそうもありません。具体的には

MIPS Magnum 4000 / Olivetti M700-10

この二つの機種はほとんど同一です。ACE イニシアティブの頃に、Olivetti は Jazz デザインのライセンスを得て、OS として Windows NT を搭載したマシンを出荷していました。MIPS Computer Systems 社は Jazz デザインを購入して MIPS Magnum 4000 シリーズの機種として出荷していました。 Magnum 4000 システムはオペレーティングシステムとして Windows NT と RISC/os が製品化されていました。

これらのマシンのファームウェアは、インストールされていた OS の種類によります。Linux/MIPS はこの二種のうち、リトルエンディアンのファームウェアのみをサポートします。 M700-10 は NT マシンとしてのみ売られていたため、 この機種にはすべてリトルエンディアンのファームウェアが搭載されています。 MIPS Magnum の場合はもっと複雑です。もしあなたのマシンが RISC/os 用のビッグエンディアン構成になっていた場合には、 リトルエンディアンのファームウェアに入れ直す必要があります。 このファームウェアは元々すべての Magnum の添付フロッピーに含まれていましたが、フロッピーがもう無いと言うことなら ftp://ftp.linux-mips.org/pub/linux/mips/misc/magnum-4000 から匿名 ftp でダウンロードできます。

M700 はファームウェア環境変数 ConsoleIn と ConsoleOut を multi()serial(0)term() に設定することでディスプレイレスの動作をさせるように設定できます。 また、有効な ARC デバイスの一覧を listdev コマンドで見ることができます。

一部のマシンの場合、例えば G364 グラフィックカードが搭載されていないが、 コンソールは標準グラフィックを使う構成のままになっている場合などでは、 ボード上の JP2 を設定する必要があります。次のリセットの後、マシンは COM2 をシリアルコンソールとしてリブートします。

MIPS Magnum 4000SC

MIPS Magnum 4000SC は R4000SC CPU を積んでいる以外は Magnum 4000 と同じものです。 上の項 をご覧ください。

NEC machines

NEC のシングルプロセッサの機種は Acer PICA システムの OEM ですので、該当の項を参照ください。マルチプロセッサシステムは別物です。 Linux/MIPS の開発者達は OS を開発するに必要な技術情報を持っていません。 進展が無い限り、この点が NEC のマルチプロセッサシステム への移植を阻む主要因であり続けるでしょう。

Netpower 100

Netpower 100 は明らかに Acer PICA の外側のみ変えたものです。 従ってサポートされているはずですが、テストはされていません。 もし問題があるとするなら、マシン判定の関連でしょう。

Nintendo 64

Nintendo 64 は 4MB の RAM を持つ R4300 ベースのゲーム機です。 グラフィックチップは任天堂向けに Silicon Graphic 社で開発されました。 このマシンへのポートは現在「できたらいいな」程度の状態であり、 任天堂が必要な技術情報の公開を決定するまではその状態のままでしょう。 もっともこの機種に Linux/MIPS のコードを移植するのが良い考えなのかどうかも問題ではありますが。

Silicon Graphics Challenge S

このマシンは Indy によく似ています。 違いはこのマシンにはキーボードとグラフィックカードがないこと、その代わりに WD33C95 チップを使った SCSI アダプタが追加されていることです。 この WD33C95 アダプタは現時点ではサポートされていません。

Silicon Graphics Indigo

このマシンをここで言及しているのは、Indy や Indigo 2 と良く混同されるためです。Indigo は R3000 を使った別のアーキテクチャの機種で、まだサポートされていません。

Silicon Graphics Indigo2

このマシンは Indigo の後継機種で、Indy ととてもよく似ています。 この機種は現在サポートされていますが、かなりの機能が欠けています。 また、シリアルコンソールを使わなければいけません。Indigo2 を持っていて、現在の状態でも良いので Linux を動かしてみたいということならば、 Florian Lohoff (flo@rfc822.org) さんか Klaus Naumann (spock@mgnet.de) さん に連絡を取ってください。

Silicon Graphics Onyx 2

Onyx 2 は、基本的には Origin 2000 に追加のグラフィックハードウェアがついたものです。 現時点では、この追加グラフィックハードウェアの Linux サポートは完成していません。 それ以外の点では、通常のディスプレイなしの Origin 2000 構成と同程度に Linux が走るはずです。

Silicon Graphics Power Series

これはとても古い R3000 対称マルチプロセッサ機です。 これらの機種のハードウェアのドキュメントはありませんし、マシン自体既にあまり残っていませんし、ハードウェアには妙な癖があります。 簡単にいって、Linux がこれらのマシンで走る可能性はほとんどゼロです。 もっとも、挑戦者の意気を挫こうというわけではありませんが…。

SNI RM200C

下に書かれている RM200 と違って、このマシンは EISA と PCI スロットを持っています。RM200C はオンボードの NCR53c810A SCSI コントローラを除いてサポートされています。

SNI RM200

あなたのマシンに EISA と PCI スロットの両方があるなら、それは RM200C です ( をご覧ください)。このアーキテクチャ的なわずかな違いのため、RM200 のほうは現在公式ソースではサポートされていません。 Michael Engel (engel@numerik.math.uni-siegen.de) さんが彼の RM200 を部分的に動くところまで持ってきていますが、このパッチはまだ公式の Linux/MIPS ソースに含まれてはいません。

SNI RM300C

RM300 は技術的には RM200C にとてもよく似ています。従って現在の Linux カーネルで動くはずですが、まだ動作レポートを受け取っていません。

SNI RM400

RM400 はサポートされていません。

SNI RW320

これは SGI Indigo の OEM 品で、従ってサポートされていません。

NEC VR41xx-based platforms

Linux VR プロジェクトでは NEC 社 VR41xx マイクロプロセッサを使った機器への Linux の移植を行っています。これらの機種の多くはもともと Windows CE を動かすためのものです。現在基本的なドライバを備えた動作するカーネルが Vadem 社の Clio、Casio 社の E-105、Everex 社の Freestyle 他の機種向けに 同プロジェクトで作成されています。更に詳しい情報は http://linux-vr.org/ を参照ください。

Toshiba TMPR39xx/Philips PR31700 platforms

VR41xx と同様、これらのプロセッサを使った機器はもともと Windows CE を動かすためのものです。但し、Sharp MobilonCompaq C-Series には基本的ドライバを含んだ、動作するカーネルがあります。 その他の機種については開発中です。コードは Linux VR プロジェクトの一部で、 このためより詳しい情報は http://linux-vr.org/ にあります。

8.4 私たちが決してサポートしないハードウェア

IBM RS6000

名前の通り、これは RS6000 プロセッサシリーズを使った IBM のマシンです。 このため、これは Linux/MIPS プロジェクトの対象ではありません。よく IBM RS6000 と MIPS R6000 が混同されますが。しかしながら、Linux/PPC プロジェクトは該当機種をサポートしているかもしれません。詳しい情報は http://www.penguinppc.org/ を見てみてください。

VaxStation

名前にも含まれているとおり、これらのマシンは Digital Equipment 社の VAX ファミリのメンバーです。ここでこれを取り上げるのは MIPS を使った 同じ DEC の DECstation と似たタイプ名のため、よく混同されるからです。 この 2 つのファミリにはアーキテクチャ的に共通点はほとんどありません。 残念ながら、この VaxStation は、他の VAX ファミリ同様現在サポートされていません。

SGI VisPC

これらは実際は x86 プロセッサを使ったシステムで、この FAQ の対象外です。 Visual Workstation の旧機種には、多少制約のある Linux サポートが提供されています。現在の Visual Workstation は公式にサポートされた SGI の製品です。詳しい情報は http://oss.sgi.comhttp://www.sgi.com をご覧ください。

Iris 3000 などのモトローラ 68k ベースの機種

これらは とても 古いマシンで、多分現時点で十年以上経っています。 これらのマシンは MIPS プロセッサを使っていませんので Linux/MIPS プロジェクトではサポートしませんし、これらの機種の情報を探すためなら この文書は間違った場所です。


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