著者 Chris Jones 氏 <chris@black-sun.co.uk>。 copyright 2001
Hal Burgiss サ<hal@foobox.net> が多少加筆。
Linux を使って Alcatel SpeedTouch USB ADSL モデムを設置、設定して利用する
フランス語訳が http://www.linuxdude.co.uk/docs/Alcatel-Speedtouch-USB-mini-HOWTO-FR.txt にあります。
Chris Jones 氏が書いた Alcatel-Speedtouch-USB-mini-HOWTO を掲載させて もらいました。ドキュメントの最新バージョンは http://www.linuxdude.co.uk/docs/Alcatel-Speedtouch-USB-mini-HOWTO/ に あります。
Linux を利用する常として、方法はいろいろあります。このドキュメントでは ワーキング・モデルというやり方を採ります。他の方法もありますし、Alcatel が配布しているインストールの手続きとは、矛盾するところ もいくつかあるかもしれません。注意すべき例をあげます。Alcatel のドライバ は PPPoE とPPPoA ともサポートしています。Alcatel によると PPPoE の方が 導入が簡単としていますが、動作するまでに多少やることがあります。それでも PPPoA の方が安定していると多くの方が感じています。この HOWTO では PPPoA のドライバだけを網羅します。Alcatel が配布しているドキュメントには PPPoE ドライバについて多少情報が載っています。
またこのドライバは 2001 年 3 月にリリースされたばかりです。まだ試験的な コードが残っています。イーサネットモデムを使った場合と同等に安定している とは考えないでください。ユーザーが開発者にフィードバックをたくさんして くれれば、問題点はすぐ解決するはずです。
ドライバはカーネル 2.4.x も必要とします。カーネル 2.2 を動かしているなら、 バージョンアップになるでしょう。カーネル自体だけではなく、modutils の ような関連するパッケージもバージョンを上げることになります。必要なこと カーネル 2.4 のソースツリーにある /usr/src/linux/Documentation/ Changes を読めば必要なことすべてが書いてあります。さらに 付け加えれば、素のカーネル 2.4 のシステムを手に入れて、安定動作した後に 下記の作業をしてください。
Warning |
この作業は臆病な人向きではありません。初心者ユーザはイーサネットモデム をぜひとも検討してください。 |
Alcatel SpeedTouch USB ADSL モデムは低価格で売れ筋です。ADSL サービスに 広く対応していて、特にイギリスの BT Ignite(British Telecom の 1 部門) がこのモデムを自分たちの ADSL ネットワークで利用しています。BT はまもなく 新しい ADSL ルータに移行する計画を持っていますが、このモデムは依然として たくさんのユーザー― Windows よりも Linux でインターネットに接続したい と思っている―が使っています。
はじめのころ、このモデムは Windows 2000 や Windows 98 を使っている ユーザ向けでしたが、Alcatel は最近になって MacOS 用のドライバを リリースし、ついこの間 Linux 用のドライバをリリースしました。
このドキュメントでは、SpeedTouch USB を使って Linux でインターネット 接続する方法をできるだけやさしく説明します。
このドキュメントには前提条件がいくつかあります。
Red Hat 7.0(他のディストリビューションでもほとんど同じですが)を 使っていること。最新版を持っていること。
カーネル 2.4.2 を動かしていること(カーネルのインストールについて はこのドキュメントは適当ではありません。Web サイトにすべてあります。
イギリスにいること(ADSL ネットワークでアクセスできたのはここだけ なので、知っていることはこれですべてです。ご自分の国と何か違う 点があったなら、電子メールをください。このドキュメントを修正します)。
最初の前提条件は、単に私が Linux でこのモデムを使わなければいけない がために、Red Hat 7.0 を使っているというだけです。他のディストリ ビューションもカバーしたいと思っています。違いを見つけたなら、 電子メールをください。このドキュメントを修正します。
2 番目の仮定はもっと重要です。最低でも カーネル 2.4.1 を動かして いなければ「いけません」。ただ 2.4.2 の方がもっと安定していますし、 SpeedTouch USB ドライバも良好に動作します。
残念ながらソフトウェアの大部分は設定についてはまだベータ版なので、 クラッシュしたり、いきなりフリーズしたりするかもしてません。 ドライバを改良し続ければ、期待通りに安定性も増して、みんなが幸せに なれます。
このセクションでは下記のものが必要になります(これを読んでいる時には バージョンが変わっているかもしれませんので、適宜読み替えてください)。
カーネル 2.4.2 のソースツリー(普通は /usr/src/linux/ にあります)。 またすでにそのカーネルが動作していること。カーネル 2.4 をインス トールする方法は、あちこちの Web サイトにあります。
Jens Axboe 氏の pppoatm カーネルパッチが必要になります。下記のところ から入手できます。
http://www.kernel.org/pub/linux/kernel/people/axboe/PPPoATM/2.4.1-pre7/pppoatm-1.gz |
これからパッチを取り出すには、gzip -d pppoatm-1.gz と します。
元々は SpeedTouch ドライバとドライバが依存している SAR ライブラリが入って いた統合カーネルパッチを使っていましたが、残念なことにこのパッチは メンテナンスされていないため、もう現状のドライバと合わなくなっています。 というわけで、少々以前よりもやり方が複雑になっています。
現在使用しているカーネルで統合パッチを使っているなら(以前このドキュ メントに従って設定した場合にのみ当てはまりますが)、最新版の SpeedTouch ドライバと SARlib にアップグレードした方が良いでしょう。その際には 統合パッチに「逆」パッチを当てる(つまりパッチを当てたカーネルに再度 パッチを適用します。ただし「-R」オプションを使って)。その上で下記の SpeedTouch ドライバと SARlib 設定の手続きを踏みます。
まず必要なのは最新版の SpeedTouch ドライバで、次のところから入手 できます。
http://sourceforge.net/ |
また、最新版の SARlib も必要になります。下記のところで入手できます。
http://sourceforge.net/ |
ダウンロードした両ファイルを次のコマンドで展開してください。
tar -xvzf sarlib-x.y.z.tgz |
tar -xvzf speedtouch-x.y.tar.gz |
ブラウザが余計なお世話をする: お使いの Web ブラウザが、上記のパッチを既に unzip しているかもしれ ません(つまり Netscape が自動的に .gz ファイルを unzip している)。こうなっていたら、パッチファイルの名前 から gz 部分を削除して、名前を変更してください。その後下記の手続きに 従ってください。
事前の準備が整ったら、パッチ当てを進めましょう。
パッチの当て方
カーネルソースのあるディレクトリに行きます。 cd /usr/src/linux
pppoatm-1 パッチをテスト的に当ててみます。 patch -p1 -s -E --dry-run < /path/to/pppoatm-1
このコマンドが何か出力したらカーネル 2.4.2 のソースツリーに不具合が あります。修正してから次の段階に行ってください。
pppoatm-1 パッチを適用します。 patch -p1 -s -E < /path/to/pppoatm-1
ドライバをコンパイルします。これはとても簡単で下記のようにすれば できあがります。
cd SpeedTouch (このディレクトリは speedtouch-x.y.tar.gz アーカイブを展開した時 にできます) |
make |
make install (root で行う必要があります) |
これでカーネルドライバ(speedtch.o)が、 /lib/modules/2.4.x/kernel/drivers/usb/ (「x」 はどのカーネルバージョンが動いているかによります)。
このセクションで必要なのは、
パッチの当て方に従って パッチを当ててあるカーネル 2.4.x が動いていることです。
カーネルを設定するには、お好きな設定方法で設定を呼び出してください (たとえば、cd /usr/src/linux; make xconfig とか)。
下記のカーネルオプションを選ぶ必要があります。
Code maturity levels->Prompt for development and/or incomplete code/drivers
Networking options->Asynchronous Transfer Mode (ATM)
Network device support->PPP (point-to-point protocol) support
Network device support->PPP support for async serial ports
Network device support->PPP Deflate compression
Network device support->PPP BSD-Compress compression
Network device support->PPP over ATM
USB support->Support for USB
USB support->Preliminary USB device filesystem
USB support->UHCI (Intel, PIIX4, VIA, ...) support
ここで OHCI ドライバを選ぶ必要があるかもしれません。USB コント ローラによります。
USB support->Alcatel Speedtouch USB support
このオプションは古い SpeedTouch ドライバを含んだ統合カーネルパッチを 使っている場合にだけ有効になります。SpeedTouch と SARlib の tarball を 落としてきた場合には無効なので、気にする必要はありません。
オプションの選択: 簡単に言ってしまうと、最後の 2 つ(UHCI/OHCI support と Alcatel Speedtouch USB support は M の方が良い)以外は全て Y(M よりも)を選んでください。
では、いつものようにカーネルとモジュールをコンパイルしてからインストール してください。
このセクションでは下記の項目が必要となります(繰り返しますが、 できるだけバージョンアップをしてください)。
Alcatel のバイナリ管理アプリケーション。下記から得られます。 http://www.alcatel.com/consumer/dsl/dvrreg_lx.htm. Alcatel からこれを落とさなければいけません。配布はライセンスによって 禁止されています。
A PPPoATM-aware PPP デーモン。下記から得られます。
Red Hat 7 RPM (GLIBC2.2): http://sourceforge.net/project/showfiles.php?group_id=23818
Red Hat 6 RPM: まだ利用できません。
Debian .deb: http://sourceforge.net/project/showfiles.php?group_id=23818
Tarball: http://sourceforge.net/project/showfiles.php?group_id=23818
PPP が動作する設定(インターネット上にはカーネル 2.4 で PPP を設定 するガイドがたくさんあります)。
Linux HotPlug ソフトウェアは、下記から得られます。 http://linux-hotplug.sourceforge.net. 手続きにしたがってインストールしてください(RPM を使ったインストール が簡単です)。
必要な PPP パッケージをインストールしてください。自分で /dev/ppp を作成する必要があるかもしれませんが、次の コマンドで作成できます。
cd /dev |
./MAKEDEV ppp |
お使いのディストリビューションには MAKEDEV スクリプ トがなかったり、正しいデバイスが作れなかったりします。その場合は、 下記のコマンドを入れてください。
mknod /dev/ppp c 180 0 |
Alcatelのバイナリドライバの tarball(speedmgmt.tar.gz ) を展開して、tarball に入っている手続きにしたがって インストールしてください。
このセクションで必要なのは、下記のことです。
パッチの当て方と カーネルの設定、 ソフトウェアのインストールが 終わっていること。
/etc/ppp/options を下記の内容に修正してください。
lock
defaultroute
noipdefault
noauth
passive
asyncmap 0
name user@domain
user user@domain
plugin /usr/lib/pppd/plugins/pppoatm.so
0.38
覚えておくこと: ADSL のユーザ名である "user@domain" を 2 箇所書き換える 必要があります。
また上記の "0.38" は、著者のプロバイダの VPI/VCI ATM の組み合わせの例です。お使いのプロバイダの正しい値がいくつなのかを 知って、置き換えなければいけません。この値が間違っていると同期はとれる かもしれませんが、ISP の IP レベルでは接続できなくなり、いらつくことに なるでしょう。この値は Alcatel の Windows 用のクライアントか ISP から 知ることができます。通常使われている値は、0.32、0.35、8.32、8.35 です。
/etc/ppp/chap-secrets を下記のように修正して ください。
# Secrets for authentication using CHAP
# client server secret IP addresses
user@domain * password
同じ内容を /etc/ppp/pap-secrets にも加えてください。
覚えておくこと: "user@domain" を ADSL のユーザ名に、"password "を ADSL のパスワードに置き換えてください。
Note: ここで ADSL モデムをコンピュータから抜いて ください。
USB と Speedtouch のカーネルドライバを次のコマンドでロードして ください。
/sbin/modprobe usb-uhci
/sbin/modprobe speedtch
USB デバイスファイルシステムを次のコマンドを使ってマウントして ください。 mount none /proc/bus/usb -tusbdevfs
Alcatel 管理アプリケーションを次のコマンドでスタートしてください。 /usr/sbin/mgmt
ADSL モデムを USB ポートに挿して、数秒待ってください。もう 1 つの 端末を開いて /var/log/messages を眺めるのも いい手かもしれません。モデムが初期化し、下記のようになるのがわかる はずです。
Speedmgmt[2074]: Modem initialised at 576 kbit/s downstream and 288 kbit/s upstream